ささげ(大角豆)とは?いんげんと違いは?下処理や赤飯など食べ方・レシピのおすすめも紹介!
【野菜ソムリエ監修】ささげ(大角豆)はどんな野菜か知っていますか?今回は、ささげの名前の由来や〈見た目・旬〉など特徴をいんげん・小豆と違いを比較しながら紹介します。ささげの茹で方・下処理の仕方や、食べ方・レシピのおすすめも紹介するので参考にしてみてくださいね。
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ささげ(大角豆)とは?どんな野菜?
大角豆と書いてささげと読む野菜を、食べたことのない人もいるのではないでしょうか。一見するといんげんのようにも見える、ささげについて詳しく説明します。
ささげ(大角豆)の名前の語源・由来
ささげの原産地はアフリカ東部のエチオピア付近で、インドからシルクロードを通ったあとに中国を経由し、日本には西暦900年ごろに伝わりました。ささげは漢字で「大角豆」と書きますが、これはささげのさやの端の部分に角が見られるため、この漢字が当てられています。
ささげの名前の由来には諸説ありますが、畑に実ったささげが物を手に持ち、天に「捧げる」ような形をしているからといった説も有力です。このほかにもささげのさやの形が細い牙のように見えることから、かつては「細々牙(さいさいげ)」と呼ばれていた名前が、「ささげ」に変化したとも考えられています。
ささげの種類
国内外で生産されている、ささげの品種は下記の通りです。
・三尺ささげ
・十六ささげ
・金時ささげ
・宮古島黒小豆
・ブラックアイビーンズ
ささげはいんげんのように若さやを食べる品種と、大豆のようにさやの部分が枯れるまで成長させ、完熟した豆のみを食用とする品種に分かれます。愛知県や岐阜県の伝統野菜として親しまれている、三尺ささげや十六ささげは、さやの部分が柔らかいのでおひたしや煮物の彩りなどに使うと良いでしょう。
金時ささげは、ささげの種子にあたる豆部分が食ベられる代表的な品種です。また、大きさや色が小豆に似ていることから、宮古島黒小豆と名付けられた品種もあります。
ブラックアイビーンズ(アメリカではブラック・アイド・ピーズ)と呼ばれるアフリカを原産とするささげは、全体的に白く発芽する部分のみが黒いのが特徴で、日本では黒目豆とも呼ばれることがあるようです。ブラックアイビーンズは、カレーやサラダ・煮込み料理などの具材として、中東アフリカやインドアメリカでも親しまれています。
ふじかわなおこ
野菜ソムリエ
ささげにはつるなし種とつるあり種があり、つるなし種は莢が固いので野菜として食べられているのはつるあり種の若い莢になります。
ささげと「いんげん」の違いは?
ささげとよく似た野菜であるいんげんには、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは、ささげといんげんの見分け方について詳しく説明します。
①見た目の違い
ささげはマメ科のササゲ属、いんげんはマメ科のインゲンマメ属にそれぞれ属する植物で、見た目にわかりやすいのは長さの違いだといえます。ささげは30~50㎝が食べ頃とされ、長いものならば100㎝を超えるほど成長することがあります。こちらに対し、いんげんは長いものでも15㎝程度にしか成長しません。
さやの形にも違いがあり、ささげは端の部分が角ばっていて、切った時の断面が四角い形に見えることが特徴です。こちらに比べ、いんげんのさやは丸みを帯びていることが、見分けるポイントの一つとして挙げられます。
②旬の時期・季節
ささげの若さやは、品種や育つ地域によって旬の時期や季節は多少違いがあるものの、6月~8月の気温の高い時期に旬を迎えます。若さやの旬が過ぎた後、8月~9月にかけて完熟したささげの豆の収穫が行われます。
一方いんげんの成長は早く、温かい地域では1年で3回収穫できることから、サンドマメとも呼ばれる野菜です。このことから、ささげに比べいんげんは、年間を通して手に入りやすい野菜だといえるでしょう。
③原産地
ささげの原産地はアフリカで、900年頃に日本に伝わった野菜であると前述しましたが、いんげんはメキシコをはじめとする中南米原産の野菜です。メキシコに渡ったスペイン人がヨーロッパに持ち帰り、それが中国に伝わったといいます。その後中国の隠元(いんげん)和尚と呼ばれる僧侶が、1654年に日本に伝えたことから、いんげんと呼ばれるようになったという説が有力です。
一方のささげはいんげんよりも700年ほど前から日本では食べられていたとされ、江戸時代の農学全書にはささげが栽培された記録も残っています。このことから、ささげといんげんは原産地や日本に伝わった時期も、異なる野菜であるといえるでしょう。
ささげと小豆の違いは?
前述の通り完熟したささげの豆は、小豆と非常によく似た見た目をしています。大きさはささげの方がわずかに大きく、中心にあるくぼみの部分の色が小豆は白く、ささげは黒い縁取りがあります。価格はささげの方が高額で、倍以上の値段が付けられていることもあるようです。
ささげは小豆に比べて皮が厚く、加熱しても豆が割れにくいため、お赤飯に向くとされています。小豆を使ってお赤飯を炊くと半分に割れてしまい、その見た目は切腹をイメージさせることから、江戸時代の武士たちに忌み嫌われたといいます。このため、晴れの日を祝う際のお赤飯には、ささげを使うことが一般的です。
また、お赤飯は神様に「捧げる」料理であることから、これを名前の由来に持つささげが使われるようになったとも考えられています。一方、小豆は皮の柔らかさを生かした、あんこなどの和菓子作りに活用されるのが特徴です。