初物とは?食べると寿命が伸びて長生きできる?意味やことわざ・食べ方も紹介!
初物とは何か知っていますか?食べると寿命が伸びて長生きできると言われています。今回は、初物の意味や旬との違いに加え、<向く方角・笑う>など食べ方や<初物七十五日>などことわざを紹介します。<さんま・スイカ・ワイン>など種類も紹介するので参考にしてみてくださいね。
目次
⑤お酒
農作物の初物から作られるお酒の中でも、特に盛大に売り出される新酒は以下の通りです。
・八海山
・土佐鶴
・朝開き
・ボジョレーヌーボー
・ノヴェッロワイン
初物は食材そのものだけでなく、農作物の初物を加工した新酒も注目度が高く、完成を祝う盛大なイベントになっています。日本酒は全国で作られており、米所である新潟の八海山や岩手のあさ開、酒類消費量の多さが知られる高知の土佐鶴など有名な酒造が多数あります。近年ではフランスのボジョレー・ヌーボーやイタリアワインのノヴェッロの解禁も有名です。
初物の食べ方・向く方角に意味がある?
初物の食べ方や、食べる際に向く方向にはどのような意味があるのでしょうか。食べ方の風習や方角の意味、理由を東西それぞれについて詳しく解説します。
①初物を東を向きながら笑って食べると縁起が良い
関西地方では、初物を東を向きながら笑って食べると縁起が良いとされます。東は日の昇る方向であり、日光の恵みや季節の実りに感謝を込めて、東に向かって笑いかけて食べることで福を呼ぶと信じられていました。
また、東は江戸の方角なので、関西人がいち早く初物を食べたことを江戸の人々に自慢する笑みで東を向くともいわれます。当時の西の人々の江戸に対する対抗心の強さや、幕府と上方の関係性など、歴史的な背景を表す言説です。
②初物を西を向きながら笑って食べると縁起が良い
主に江戸から東側の関東地方では、初物は西を向きながら笑って食べると縁起が良いといいます。西は極楽浄土があり、阿弥陀如来の座する方角であることが理由です。日ごろの感謝を念じ、貴重な初物を西に向かって食べることで、仏の加護が得られると考えられていました。
江戸の人々にも上方や天下の台所である大阪に先駆けたい気持ちが強く、初物を早く食べたと自慢したいことが理由で西に向かって笑うとの説があります。競争心が強く負けず嫌いで、流行の先取りを粋とした江戸っ子らしさが表れた言い伝えです。
初物に関することわざとは?寿命が伸びて長生きできる?
初物に関することわざはどのようなものでしょうか。初物を食べると寿命が伸びて長生きできるといわれる理由も気になる点です。初物にまつわることわざや言い伝えと、それに関する逸話や由来を詳しく紹介します。
初物七十五日ということわざがある
初物を食べると寿命が75日延びるとの言い伝えに由来する、初物75日のことわざが有名です。75日の理由は様々ですが、中国の五行思想において季節の一区切りが75日であることや、作物の収穫まで75日程度であるという説が有力です。厳密な75日の日数ではなく、一定の期間のことを慣用的に75日と表現していたともいいます。
江戸時代には、死刑囚が最後に望む食べ物を1つだけ食べさせてもらえる制度があり、初物75日の由来とされる逸話があります。ある死刑囚が少しでも刑の執行を延ばして長生きするために、その時期に取れない食べ物を所望し、収穫期までの75日間生き長らえたとの言い伝えです。
初物は現代でも食べられる?人気だった時代とは?
1年を通して食材が豊富な現代では初物への有難みに対する実感が薄くなりがちですが、現代でも食べられる初物はどのようなものでしょうか。人々が初物に熱狂するほどに人気だった時代と合わせて紹介します。
初物は江戸時代に禁止令が出るほど人気だった
初物は江戸時代に人々が熱狂的に買い求めて価格高騰の激化を招き、争いの種にもなったことから、幕府からの禁止令がでるほど人気でした。昔は食糧の供給が不安定であり、娯楽が少なかったので、身分を問わず食への注目度が高かったことが理由の1つです。
初物四天王である初鰹や初鮭などの鮮度が非常に重要なものは、飛脚を使って獲れたてをすぐに身分の高い人の元へ届けていました。庶民は初物四天王の茄子をはじめとした様々な野菜や筍、果物や新酒などを幅広く楽しんでいました。
日本人の間では早いもの勝ちの意識があり、流行の最先端を追いかけて一斉に熱狂する性質があります。信心深く縁起物を珍重する傾向も合わせて、初物が強く支持された理由といえます。