方言で「半殺し」=「おはぎ」の地域がある?意味の由来や「皆殺し」「全殺し」についても紹介!
おはぎを「半殺し」と呼ぶ地域があることを知っていますか?今回は、「半殺し」の意味・由来や、似た表現の「全殺し」「皆殺し」についても紹介します。落語など、半殺しの意味の誤解にまつわる話も紹介するので参考にしてみてくださいね。
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「半殺し」の食べ物の謎って?
日本には「半殺し」と呼ばれる物騒な食べ物があるようですが、その正体は一体何なのでしょうか?ここでは「半殺し」の正体について解説します。
「半殺し」はおはぎ・ぼたもちを指す方言
「半殺し」と呼ばれる物騒な食べ物は、お彼岸でおなじみの「おはぎ」や「ぼたもち」の方言です。おはぎやぼたもちを半殺しと呼ぶ地域は以下の通りです。
・徳島県
・群馬県
・長崎県
・山形県
・大阪府
実は、おはぎやぼたもちのことを半殺しと呼ぶ方言は、おばあちゃん世代を中心にいろいろな地域に広まっています。なかでも、有名なのは徳島県那賀町の名物の郷土菓子でしょう。那賀町名物の「はんごろし」はあんこをうるち米ともち米のご飯で包み、きな粉をまぶしたおはぎで、地域の農産物直売所などでも購入できます。
また、群馬県を中心に東北の一部地域でも半殺しの言い方が使われ、ほかには長崎県や大阪府でもおはぎを半殺しと呼ぶ方言がみられるようです。これらの地域では半殺しが名物なわけではないので店頭などに半殺しと表記されていることは少なくても、人々の間でこのような言い方が伝わっているそうです。
(※おはぎとぼたもちの違いについて詳しく知りたい方はこちらを読んでみてください。)
「おはぎ」を「半殺し」と呼ぶ由来
徳島県や群馬県などの地方では、どうしておはぎを半殺しと呼ぶのでしょうか。おはぎを半殺しと呼ぶ由来を紹介します。
おはぎの半殺しとは「米の状態」を指す言葉
おはぎの半殺しは、もともとおはぎの米の状態を示す言葉です。一般的におはぎは蒸したうるち米ともち米をつぶしてあんこでくるんだ和菓子を指します。このとき、お米のつぶつぶした食感が半分くらい残った状態で仕上げたおはぎのことを半殺しと呼びます。
なぜ潰し方に対して「殺す」という物騒な表現を使ったのかは不明ですが、徳島県や群馬県をはじめとする一部の地域では、今でも「半殺し」はおはぎやぼたもちの一般的な呼び方です。
おはぎの「あんこの状態」を指す場合もある
半殺しは「米の状態」を指す言葉だと説明しましたが、一方でおはぎの米の状態ではなくあんこの状態を指す言葉として半殺しが使われることもあります。あんこの半殺しの場合は、粒の残ったあんこ、いわゆる粒あんを半殺しと呼ぶようです。
「半殺し」の他に「皆殺し」「全殺し」もある?
おはぎの米の状態を表す半殺しという一見物騒な方言に対して、さらに怖いイメージを呼び起こす「皆殺し」や「全殺し」といった言い方もあります。ここでは、皆殺しや半殺しはどのような状態を指す言葉なのかを紹介します。
「全殺し」などいずれも「米の状態」を表す言葉
半殺し以外に使われている、少し物騒な言い方を見てみましょう。
・全殺し
・皆殺し
・本殺し
これらの言い方は、すべて「完全に殺す」という意味を持った言い方です。おはぎのお米を半分残す半殺しに対して、これらの言葉はすべてお米の粒を残さず、きれいに潰した状態を指します。つまり、お餅のように滑らかな状態を指す言葉です。一方、これらの言葉があんこに使われるときはこしあんを指す言葉になります。