イシモチとはどんな魚?味はまずい?旬の時期〜食べ方・レシピのおすすめまで紹介!
イシモチはどんな魚か知っていますか?日本では昔から親しまれ食されている魚です。今回は、イシモチの〈旬・産地〉〈味わい〉など特徴や、ニベとの違い・見分け方も紹介します。ここでは、イシモチの捌き方や食べ方のおすすめも紹介するので参考にしてみてくださいね。
目次
イシモチとはどんな魚?高級魚?

イシモチは高級蒲鉾の材料に欠かせないほか、チョギ・クルビと呼ばれる韓国の塩漬けが高級贈答品として扱われている魚です。ここではイシモチの生態や特徴、味わいなどについて詳しく解説していきます。
イシモチの生態
イシモチはスズキ目ニベ科シログチ属に分類されます。水深30~140メートルの砂泥底に生息しており、海水が濁っている暗い時間帯に活動が活発になる夜行性の海水魚です。海水温度が20℃程になると内湾沿岸の浅場で産卵を始め、イソメ類の虫エサや小型の甲殻類のほか小魚までも捕食します。水揚げされると、浮袋をグーグーと鳴らす変わった特徴があります。
イシモチの名前の由来
イシモチという呼び名は、頭骨内にある耳のような働きをする耳石がとても大きく目立つことが名前の由来と言われています。そのため漢字で石持と書かれ、イシモチと呼ばれるようになりました。またイシモチはシログチ属に分類されますが、別名としてシログチと言われることもあります。
この別名のシログチは、釣り上げた時に浮袋を振動させグーグーと鳴く特徴があるので、まるで愚痴を言っているかのように聞こえることに由来しています。ただし、関西方面ではシログチではなく、グチと呼ばれることが多いようです。
イシモチの味わいはまずい?
イシモチはまずい魚と言われることがありますが、これは鮮度落ちがとても早く、皮目がヌルヌルとして独特の臭みがあることが理由の一つです。
またイシモチは釣った後にクーラーや氷の生簀に入れて硬直させる「野締め」の状態で売られていることがほとんどです。釣り上げたその場で生きた状態で延髄と動脈を断つ処理を施す「活締め」をし、さらに血抜きも行う高級魚と比べると扱いが下がるので、野締めの状態のイシモチはほぼ生では食べません。
しかし、適切に処理がされたイシモチは非常に美味しい魚です。釣ったイシモチを活締めにした後にしっかりと血抜きを行い、鮮度の良い状態で刺身にすれば絶品になります。更に皮目を炙ると臭みのあった皮が驚くほど美味しくなり、イシモチの皮は薄く柔らかなので上品な風味や食感が味わえます。
昨日はイシモチも3匹釣れた。大津沖は猿鯵だけでなく、鯖も黒鯛も旨い。とーぜんイシモチも旨いはずだ。
— 釣人割烹 (@tsuribitokappou) January 31, 2021
イシモチも握り&刺身で。
刺身は真鯛より旨い。ただし釣った直後にしっかり血抜きをする必要がある。 pic.twitter.com/ZlvP3C2qAS
イシモチの旬の時期と産地は?

イシモチは昔から日本の食卓で大衆魚の代表的な存在として、人々にとても親しまれてきました。身と皮は柔らかで上品な味わいと称されるイシモチですが、ここでは旬の時期や産地について詳しく説明していきます。
イシモチの旬の時期
イシモチの旬には二通りの考え方があり、一つは身に脂がのって刺身でも美味しい冬を旬とする考えと、もう一つは産卵期に腹に卵を持って沿岸によって来る夏が旬という考え方です。イシモチは釣りの対象魚にもなっており、釣り方によって旬が分かれます。
投げ釣りでは産卵のため沿岸の浅場に寄ってくる梅雨頃から秋まで、沖の船釣りでは冬場が対象となります。イシモチは、堤防からでも船からでも両方で釣れる魚なのです。
イシモチの主産地
イシモチは暖かい海域を好む魚で、東シナ海である宮城県などの九州で底引き網によりまとまって漁獲されます。また、福井・新潟県辺りから南の日本海、太平洋沿岸から瀬戸内海まで広い範囲で漁獲されています。このように広い地域で獲れるため、大衆魚として食されているようです。
イシモチは練り製品の原材料として重要で、小田原で蒲鉾が盛んに作られるようになったのも九州で水揚げされるイシモチのためだと言われています。また鮮魚としても人気で、関東地方ではお刺身や塩焼き用の魚として好まれています。
イシモチとニベの違い・見分け方は?

イシモチとニベは一見似ていますが、種類は別物になります。ここでは、イシモチとニベの違いや見分け方について詳しく解説していきます。
【イシモチ】
・背に斑点がない
・白や銀白色
・生きている間は七色の光沢がある
・沖釣りで良く釣れる
【ニベ】
・背に暗黒色の斑紋がある
・堤防から良く釣れる
ニベはイシモチと同様にスズキ目の魚で大きさは50センチほどあり、大きいと100センチまで成長します。イシモチは体の色が銀白色であるのに対して、ニベは体の表面に暗黒色の斑紋が多くあります。またニベは外洋に面した浅瀬でよく見られ、イシモチは内湾の沖に多いのが特徴です。
イシモチの捌き方は?
イシモチの捌き方は他の魚と基本手順はほとんど変わりません。手順をしっかり守ることで、3枚卸しが簡単に出来ます。
【やり方】
1、ばらびきで鱗を引き、残った鱗は包丁で丁寧に引く
2、胸ヒレに斜めに包丁を入れて中骨を切り頭を落とす
3、切り落とした部分から腹ビレにかけて腹を開く
4、刃先でハラワタをかき出す
5、血合いに包丁を入れ、鱗と腹の血合いを水洗いして血抜きをしたのち水気を拭く
6、尾を左にして腹から中骨に沿って包丁を入れる
7、反転させ背から中骨に沿って包丁を入れる
8、繋がっている尾の部分に包丁を差し入れ、片身を切り離す
9、身に沿って包丁を入れ腹骨をすき、皮一枚のところで包丁を立てて切る
イシモチは皮にヌメリや臭みが多くあるため、鱗を丁寧に落としましょう。また、身の臭みを取るために血合い骨周りの血液を綺麗に洗い流し、血抜きをします。そうすることで身や皮の臭みがしっかり取れ、美味しく食べられます。
イシモチの食べ方・料理レシピのおすすめは?
イシモチはとてもデリケートで鮮度落ちがしやすい魚ですが、身は白く綺麗で上品な旨みもあり美味しい魚です。ここではイシモチのおすすめのレシピを紹介していきます。
①イシモチの刺身
イシモチの刺身は皮を炙ると香ばしさが加わり、格段に美味しく仕上がります。バーナーで皮目を炙ってから刺身に切り分けると良いでしょう。なお、刺身で美味しく食べるためには前述した通り活締めした上でしっかり血抜きなどの処理を施すことが大切です。
↓詳しい手順、作り方はこちら↓
②イシモチの姿揚げ
皮目が薄いイシモチは、素揚げにするとパリパリとした食感が楽しめる料理になります。調理法は大量の油で揚げるのではなく、少量の油をかけながらじっくり揚げる中華料理の技法で行うと良いそうです。そうすることで身はふっくらとして、皮は香ばしくパリパリとした食感の絶品に仕上がります。
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③イシモチの煮付け
こちらのレシピは圧力鍋で加熱する際にお酢を使用するので、身と骨が柔らかくなり小骨まで余すことなく美味しく食べられます。骨に含まれるカルシウムが溶け出しているため、成長期の子供やお年寄りには効率よく栄養素が摂れるメニューとしてお勧めです。和食を堪能したい時には、ぜひ作ってみてください。
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④イシモチのアクアパッツァ
イシモチは旨みが濃いためアクアパッツアの際は水を一切使用せず、魚介から出る水分と白ワインで炊くと絶品に仕上がります。いつもの料理に飽きた時や、おもてなし料理としてお勧めです。更に余った汁はご飯や麺を追加してリゾットやパスタにも応用でき、最後の一滴まで美味しく食べられます。
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⑤イシモチの中華蒸し
こちらのレシピは魚の臭み抜きとして長ねぎの青い部分と生姜を耐熱容器に敷き、魚をのせて調味液と共に蒸していきます。蒸し器の場合は10分、電子レンジの場合はラップをかけて500ワットで5分ほど加熱すれば完成します。白髪ねぎやパプリカを飾りであしらうと、香りや彩りも加わり更に食欲が増すでしょう。
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イシモチを食べてみよう
イシモチは別名シログチとも呼ばれる上品で柔らかな味わいの魚で、血抜きがしっかりされた鮮度の良い刺身は鯛よりも美味しいと言われるほどです。釣り魚として人気の高い魚で、刺身にする際は皮目を炙ると良いでしょう。その他にも煮付けや揚げ物、洋風にアレンジにしても美味しいのでぜひ試してみてください。