高知の珍味「のれそれ」は?何の稚魚?旬の時期・産地や食べ方のおすすめを紹介!
高知の珍味「のれそれ」はどんな魚か知っていますか?「水の妖精」とも言われますが、何の魚の稚魚でしょうか?今回は、「のれそれ」の名前の意味・由来や旬の時期・産地など特徴を、味わい・食べ方とともに紹介します。「のれそれ」の人気レシピも紹介するので参考にしてみてくださいね。
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「のれそれ」とは?どんな魚?
「のれそれ」は高知県では珍味として知られる魚ですが、全国的にはそれほど認知度が高くありません。そこで、「のれそれ」とはどんな魚なのか、外見や名前の由来など、基本的な情報を紹介します。
「のれそれ」は見た目に特徴がある
「のれそれ」は長さが通常、おおよそ5~6cm幅が1cmほどで細長く、大きいものでは2m以上のものもあります。小さい目はありますが骨はまだなく、白く透き通った美しい体をしていることから、水の妖精や南海の妖精と呼ばれています。箸で掴んで透かして見ると、葉脈のようなものが見えますが、これが背骨になる部分です。体側と腹には黒い点々があります。
「のれそれ」は平べったい体のため、水の抵抗が大きくて沈みにくく、海に漂って生きています。また、「のれそれ」はまだ生態がよくわかっていない魚で、以前は何も食べていないと思われていましたが、近年尾虫類の動物プランクトンを食べていることがわかりました。海に漂う体は、海の潮の流れに乗りやすく、プランクトンを食べるのにも適しているようです。
「のれそれ」は何の魚の稚魚?
「のれそれ」の外見は太刀魚やウツボに似ていますが、実はアナゴやクロアナゴの稚魚です。その割にはアナゴにはあまり似ていません。これは変態といって親の姿と大きく変わる生物が親になる過程のことで、「のれそれ」も変態を経て大人のアナゴになります。具体的に体長が2割から5割縮み、ゼラチン質の体が体組織へ変化し、平べったい体は丸くなります。
アナゴやウナギの稚魚の正式な名前はレプトケファレスといい、これはラテン語で「柳の葉」の意味です。「のれそれ」は柳の葉のように細長い形をしているので、葉形幼生とも呼ばれます。また、アナゴとウナギの成長過程は非常に似ており、産卵するために川を登るのも同じです。
「のれそれ」の名前の意味・由来
「のれそれ」の名前の語源ははっきりとはわかっていません。一つの説では、同じ網で摂れたイワシシラスはすでに死んで硬直していたのに、「のれそれ」は生命力が強くイワシシラスの上で「のったりそれたり」しながら生きていたことからそう呼ばれるようになったそうです。
また高知県内では「のれそれ」のことを「タチクラゲ」、関西や岡山では「べらた」、兵庫県淡路島付近では「ハナタレ」と別名で呼ぶこともあります。「ハナタレ」は鼻水が垂れているように見えることからついた名前ですが、「タチクラゲ」と「べらた」の名前の由来は全くわかっていません。
「のれそれ」の旬の時期・産地は?
「のれそれ」は高知県でよく食べられている魚ですが、漁獲量も少ないためかなり高級で、珍味といわれています。ここでは、「のれそれ」の旬の時期や産地について紹介します。
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「のれそれ」の旬の時期は2月〜5月
「のれそれ」は1月下旬から2月頃の梅の花が咲く時期に、イワシシラスを獲る同じ網に入って姿を現す魚で、高知の人にとっては春が来たと気づかせてくれる春告魚です。「のれそれ」が市場に出回るのは、地域によって違いはありますが、早春から秋と意外と長い期間です。
ちなみに東京の豊洲市場に出回る時期は2月〜5月で、その中でも最も美味しい旬の時期は、2月〜4月と言われています。ただし、旬の時期でも値段はあまり変わらないようで、多くは高級料亭などに卸されています。
(*春告魚の種類について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
「のれそれ」の産地
「のれそれ」は高知県の特産品で、昔から食べられてきたので、現在も高知県での水揚げ量が圧倒的に多いです。しかし温暖化の影響もあり、年々獲れる量は減少しており、種の保全などの理由から水揚げ制限をしています。また、愛知県や茨城県でも「のれそれ」は水揚げされ、それらは獲った後に、鮮魚の状態や冷凍されてから高知県やその他の地域まで運ばれます。
「のれそれ」は鮮度が落ちやすい魚で、しらすなどと違って加熱してからの保存ができないため、昔は漁師が船の上で食べていた珍味中の珍味でした。しかし現在は冷凍技術が進歩し、流通網が発達したおかげで、高知県だけでなく全国に運ばれ、様々な地域で「のれそれ」を食べられるようになっています。