パクチーとコリアンダーの違いとは?同じ?別名で呼ばれる理由とは?
【管理栄養士監修】パクチーとコリアンダーの違いを知っていますか?両者ともに日本で料理に使われる植物です。今回は、パクチー・コリアンダーの違いを歴史・使い方などそれぞれ比較しながら紹介します。シャンツァイ(香菜)やシラントロなどとの違いも紹介するので、参考にしてみてくださいね。
目次
パクチーとは?コリアンダーと同じ?違う?

「バクチー」には見た目や臭いなどほぼ同じ「コリアンダー」と呼ばれることもあり、「同じもの?」と不思議に思っていた人も少なくないでしょう。今回の記事では、パクチーとコリアンダーの味や使い方の違いを紹介します。
パクチーとコリアンダーは同じ植物を指す
「パクチー」と「コリアンダー」は同じ植物です。中国で使われているパクチーは「シャンツァイ(香菜)」と呼ばれており、国によって呼び名が違います。消費者からすればややこしいと感じるでしょうが、どれも別名で呼んでいるだけで全く同じものと覚えておいて大丈夫です。
パクチーは「タイ語」でコリアンダーは「英語」
日本で「パクチー」と呼ばれていますが、これはタイ語です。日本では、葉の物を「パクチー」と呼び、粉末になっているスパイスのことを「コリアンダー」と名前を使い分けています。「コリアンダー」は英語名になり、日本に入ってきたルートによって呼び名や使い方などが変化していることがわかります。
パクチーとコリアンダーは使われている場所が違う
日本でパクチーと呼ばれているのは、主に「葉・茎」の部分で、コリアンダーと呼ばれているのは、「種子」の部分を粉末状にして、スパイスとして使われているものを指し示すことが多いです。
このように、パクチーは、使う部位によって味・臭いや効能にも違いがあります。別名がたくさんあり混乱しやすいですが、それぞれの使い方などを理解できれば料理のレパートリーが増えるでしょう。
(*パクチーはどこを食べるかについて詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
パクチーについて

ここからは「パクチー」について、その歴史や種類、使い方などについて説明します。
パクチーの歴史
元々、日本食にはパクチーは合わない理由から、パクチーが料理に使われることはありませんでした。しかし、1980年代のアジア飯ブームの際にタイ料理が流行り、その時期に日本でもパクチーも食べられるようになりました。
パクチーの原産は、古代エジプトで使われていた記録がのこっていることから、エジプト近辺の地中海近隣諸国が原産と推測されます。
パクチーの種類
あまり知られていませんが、パクチーには大きく3種類あります。日本でよく見かけるパクチーは「パクチータイ」といった品種です。トムヤムクンなど多くのタイ料理で使用されているのは、「パクチーファラン」といった品種で、臭いがパクチータイの数倍もきついそうです。
そして、3種類めの「パクチーラオ」は、イタリアンで使われている「ディル」と同じものを指します。パクチーラオの「ラオ」はラオスから伝わったことが由来だそうです。肉料理の臭みを抑え、鮮やかな香りづけをするのに使われています。
パクチーの使い方や効能
パクチーが料理に多く使われていることの理由は「香付け」にあります。その香が「気の巡りをよくする」ので薬膳としても使われているのです。日本で使われているパクチーは、葉の部分がほとんどで、サラダや飾り付けに使われていることが多いです。
パクチーには、胃の働きを良くする効果があるので消化が促され、あの独特の香には「ストレスが緩和される」と言われています。また、「新陳代謝が上がる」といわれている理由は「血行が良くなる効果がある」からで、発疹を改善したり食あたりを防ぐことができる効果もあるともいわれているのです。
また、βカロテンやカリウムも豊富で、ビタミンCも含まれているので抗酸化作用が強力です。そのようなことから、美容効果やアンチエイジング効果も期待できます。
石川桃子
管理栄養士
体の中にある浮腫の原因のナトリウムとのバランスをとってくれる栄養素がカリウムですので、浮腫を気にしている方は積極的に摂ると良いでしょう。
(*パクチーの栄養素と効能について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
臭いはカメムシと同じ成分
パクチー独特の臭いが苦手な人も多いようですが、パクチーの臭いとカメムシが発する臭いは同じ成分の「E-2ヘキセナール」が含まれていることが科学的に判明しているのです。日本ではカメムシに臭いが似ていることから「カメムシ草」とも呼ばれています。
また、日本の鎖国前は、ポルトガルからパクチーが入ってきたことから「コリアンドロ」や「コエンドロ」という名でも呼ばれていました。パクチーは、生育しすぎると臭いは弱くなるので、どうしてもあの強烈な臭いが苦手な人は、生育し匂いの弱くなったパクチーを料理に使ってみてください。
(*パクチーの匂いについて詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
コリアンダーについて

コリアンダーとは、欧米諸国などの英語圏で言われている呼び名で、粉末状のスパイスとしてスーパーの店頭に並んでいるのをよく見かけます。カレーによく使われることでも有名です。
コリアンダーの歴史
コリアンダーは、パクチーの別名で先に記載したように古代エジプトから使われている食材であり、「薬」の役割をする薬味としても使われていた記録があります。先史時代の遺跡からもコリアンダーは発見されており、世界最古のスパイスとされています。
大航海時代などで、他国の食材などが持ち込まれていたことから、人の行き来と共にコリアンダーもその国に根付いていったのでしょう。イギリスへはローマ人が広めたと言われていて、アメリカにはイギリスから移住した人が持ち込んだと言われています。
コリアンダーの使い方
コリアンダーは種を乾燥させてから粉末状に加工したスパイスで、いろんな料理に使うことができます。加熱してから粉砕することで、より甘みを増し、スパイスを多く使用するカレーなどの料理に使われていたり、肉料理の下ごしらえやソーセージの中に入れることで「臭みを取る」為に使われています。
石川桃子
管理栄養士
コリアンダーはお肉の嫌な臭いを消してくれるため私はよくハンバーグなどを作る際に入れています。なかなか使いづらいイメージがありますが、挽肉料理の際に使ってみてください。
(*コリアンダーの使い方について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
パクチーとシャンツァイ(香菜)の違いは?

パクチーはタイ語の呼び名ですが、中国ではシャンツァイ(香菜)という別名で呼ばれています。
シャンツァイは中国語
シャンツァイとは中国語の呼び名になります。漢字では「香菜」と記載します。同じ植物で各国で呼び名が違うのは面白いですね。各国のパクチーの呼び名は覚えておけば、料理の時に困らなくて済みます。
シャンツァイの用途
中国で使われているシャンツァイの用途のほとんどは、葉を香草として使っています。家庭で使う場合は、料理の匂い付けや香、見た目のアクセントとして使われ料理を鮮やかに仕上げてくれます。
中華料理店などでは、肉料理などの脂っこい料理に葉が乗っていたり、お好みで追加できるように小皿に乗ってくることがあります。他にはスープなどに葉が入っているものが出てくることもあるので、それらを参考に使ってみるといいでしょう。
シャンツァイ以外にパクチーを指す名前
こちらでは、各国のパクチーの呼び名をご紹介します。全て同じものを指すので、間違いのないように覚えておいてください。
スペイン語:シラントロ
ポルトガル語:コエントロ
ベトナム語:ザウムイ
インド語:ダニヤー
沖縄の与那国島:クシティ
日本の中でも、沖縄では呼び名が違うのが、面白いですね。
呼び方は各国で様々

日本では「パクチー」が一番ポピュラーな呼び名ですが、スパイスとして「コリアンダー」とも明記され販売されています。呼び名、使い方は、日本に入ってきた際のルートによって変化し、中国ではシャンツァイ、スペイン語ではシラントロなど、様々ですね。パクチーの葉やスパイスを上手に料理に取り入れて、レパートリーを増やしてみてはいかがでしょう。