「おはぎ」と「 ぼたもち」の違いは？同じ？季節・時期・地域で呼び方が違うだけ？

今ではおはぎとぼたもちは同じ食べ物と考えるのが一般的ですが、昔は季節による呼び方の違いだけではなく形やあんこも違っていました。昔のおはぎとぼたもちがどのような食べ物だったのか解説します。

おはぎは萩の花に見立てて名が付いたことから、昔は萩の花のように細長い俵型でした。また、秋のお彼岸は小豆の収穫時期に重なりとれたての小豆をあんこができます。このことから皮ごと潰しても柔らかいあんができるため、おはぎにはつぶあんが使われていました。このつぶあんの粒が萩の花に似ていたこともおはぎと呼ばれる所以です。

ぼたもちは牡丹の大きな花に見立てて大きな丸型でした。秋が小豆の収穫時期のため、春のお彼岸に使う小豆は冬を越した皮が固くなっていてそのまま使うと食感が悪くなります。そこで皮を取り除いた小豆を使うため、おはぎはこしあんを使っていました。

ただ、現在では品種改良や保存技術の発達により一年中品質の良い小豆を使うことができるため、つぶあんとこしあんの違いという理由に意味がなくなってしまいました。

おはぎとぼたもちの呼び方の違いについては諸説あり、地域によっては季節と形は関係なくおはぎとぼたもちの呼び方をしている場合もあります。また、見た目や色が違ってもおはぎやぼたもちと呼ぶ地域もあるので、季節や形ではない分け方について紹介します。

おはぎやぼたもちのお米はもち米だけ、もしくはうるち米と混ぜて作るのが現在では一般的ですが、呼び方をお米の種類で分けている場合もあるのです。うるち米で作ったのをおはぎと呼び、もち米で作ったのをぼたもちと呼ぶ地域もあります。

（＊うるち米について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。）

お米をあんこではない食材で包み、呼び方を分けている場合もあります。あんこで覆ったものをぼたもち、きな粉をまぶしたものをおはぎと呼ぶ地域もありますし、一説にはもち米とうるち米両方を使用してあんこで包んだものをぼたもち、もち米のみを使用してきな粉を振りかけたものをおはぎとする地域もあるのです。

おはぎやぼたもちと聞いてあんこの色以外を想像する方もいるのではないでしょうか。小豆の収穫がままならない地域では、小豆ではなくきな粉や青のり、ごまやずんだなど特産品を代わりに使うところも多くあります。

徳島県の一部地域では、はんごろしという郷土料理がありこれはおはぎのことを指します。半殺しとはお米の潰し加減で、粒が残る状態のものを「半殺し」全部潰したものを「全殺し」または「皆殺し」というように呼びます。

徳島県や群馬県などおはぎやぼたもちそのものを指す地域もありますが、料理用語としてお米の状態や小豆の状態を指す際に使われることも多いようです。小豆の場合、つぶあんを半殺し、こしあんを皆殺しと表現します。東北地方、四国地方や長野県、静岡県の主に山間部で使われることが多いようです。

（＊「半殺し」の意味について詳しく知りたい方はこちらを読んでみてください。）