オーガニックの意味・定義とは?「有機野菜」「無農薬」との違いやメリットなど紹介!
オーガニックの意味を知っていますか?有機野菜とは違うのでしょうか?今回は、オーガニックの〈意味・意義・メリット・定義〉などを有機栽培と違うのかにも触れながら紹介します。オーガニック・有機栽培と無農薬との違いも紹介するので参考にしてみてくださいね。
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オーガニックとは?どんな意味?
世間で耳にすることがあるオーガニックといった言葉ですが、体に良さそうな漠然とした意識はあるものの具体的にどのようなものなのかよく知らない方も多いかもしれません。今回は、オーガニックとはどのような意味で使用されるのかを詳しく紹介します。
オーガニックの意味は「有機」
オーガニックとは「有機」といった意味で、有機とは炭素の化合物であり化学合成物でないものを指します。農業での有機は、肥料に使用される家畜の糞などの堆肥を表すことが多いようです。一方、炭素を含まない化合物で化学合成物が有機の反対の「無機」となります。
またオーガニックには「自然に即した」といった意味もあり、自然と共存するライフスタイルは「オーガニック生活」と呼ばれています。
オーガニックの意義とは?
オーガニックとは農薬や化学肥料などの化学物質を使用しないで、太陽・水・土などの自然の恵みを生かして作られた農業・畜産業・水産業・加工方法全般の事を指します。そうして作られた食品はオーガニック食品や有機食品と名付けられ、健康志向の方に人気が高まってきています。
ただ、オーガニックの目的は健康の為や食の安全性を高めることだけではありません。化学物質を使わないだけでなく遺伝子組み換え技術も利用しないことで、微生物や植物の生存環境を崩さない自然界の食物連鎖を目指しています。
オーガニックであるメリットは?
健康志向の方に人気のあるオーガニックですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。オーガニックに求めるメリットは人によって様々違うでしょうが、ここから詳しく解説していきます。
①環境に優しい
オーガニック農法の特徴は、化学合成物に頼らず家畜の糞や生ごみのたい肥などを肥料に使うことです。この方法は昔から行われてきた栽培方法で、微生物が有機物であるたい肥を分解し豊かな土壌で作物を育てるため、環境に優しい農法と言えます。
逆に、化学合成物を肥料に使うと生産や廃棄の過程で産業排水が海に流れ、環境に悪い大気汚染の心配も出てきます。化学合成物を使わないオーガニックは生産者だけでなく全ての人々の生活環境を守ることになるでしょう。さらに遺伝子組み換え技術を利用しないことで、自然界の生態系環境も守られます。
②栄養価が高い
有機栽培と農薬を使用する一般的な農産物の栄養価は、多くの大学や研究機関で比較研究されています。その結果の多くは、オーガニック・有機野菜の方が普通の栽培方法で育てられた野菜より栄養価が高いと評価されました。
しかし、英国食品基準庁であるFSAからは、オーガニック・有機野菜の方が優れているとは言えないと反論されている事実もあります。栄養価の高さについての結論は、はっきり判明していないのが現状です。
③安全性が高い
食品と言えば安全性が気になりますが、特に問題視されるのは化学肥料と農薬、遺伝子組み換えです。有機栽培はその化学肥料・農薬をほとんど使っていないので生産された作物の残留農薬が少ないと言えるでしょう。アメリカの研究で、有機野菜を食べた子供の方が普通の野菜を食べた子供より体内に蓄積された化学成分が少なかったと報告されています。
さらに健康被害が懸念される遺伝子組み換え作物が、世界中に出回ってきており量も増えています。元々、栽培しやすくするために害虫やウイルスに強い遺伝子組み換え作物が開発された側面もあるため、安全性が確証されているとは言い切れません。
遺伝子組み換え技術の利用を禁止しているのはオーガニック・有機野菜だけなので、このことも安全性が高いと言えるメリットの一つです。
(*遺伝子組み換えの危険性について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
④健康を守る
オーガニック農法でない場合、生産者の方が農薬に触れることで手が荒れたり、殺虫剤を直接吸い込むことで体調を崩す事もあるでしょう。生産者だけでなく、雨で農薬が染み出した水が井戸水に混入し飲み水として摂取し内臓を患ったという被害も出ています。
また化学物質の使用を重ねることや、遺伝子組み換え作物を摂取することで時間と共に体に蓄積され、体質により化学物質過敏症などのアレルギー反応を起こす可能性もあります。
また、オーガニック農法は美味しさを引き出す役割も備わっていて、自然の恵みを取り入れることで素材本来の美味しさを味わうことが出来るでしょう。オーガニック農法で生産者や人々の健康を守ることは大きなメリットです。
オーガニック・有機栽培の定義とは?同じ?違う?
オーガニックや有機栽培と名乗るためには、信頼できる見分け方の基準が必要です。オーガニック・有機栽培の定義とはどのようなものでしょうか。またオーガニックと有機栽培は同じなのか、違うのかも説明します。
農林省の「有機JAS」基準をクリアしていること
日本でオーガニック・有機栽培を表示するには、農林水産省の「有機JAS」の基準を満たしていることが必要です。オーガニック・有機栽培の大まかな定義を紹介します。
【有機JAS定義】
・畑の土で使用を禁止された農薬や化学肥料を、種まきや植え付けの2年以上前から使用していないこと
・栽培する上で禁止されている農薬や化学肥料を使わないこと
・肥料や農薬は天然物質か化学的処理されていない天然物質由来のものを使うこと
・畑だけでなく農業用具にも農薬や化学肥料の飛散や混入をしていないこと
・遺伝子組み換えの種や技術を使わないこと
・作物の病気や害虫の防除のために農薬を使わないこと
有機JAS認証を取得するためには、登録認定機関により上記の条件を満たしているかの審査、検査をクリアしなければなりません。また、認定された後も年1回は確認の調査が実施されるなど厳しいものとなっています。また、有機JAS認証は国産の食品だけでなく、輸入食品も同様に適応されます。
オーガニックと有機栽培の定義はかつては違ったが今は同じ
以前はオーガニックと有機栽培の定義は違い、オーガニックは家畜の糞や生ごみの堆肥である有機物を肥料に使う栽培方法と記されていました。現在は有機JAS法に認証されたものだけがオーガニックや有機栽培と表示できるので同じ定義と言えます。
オーガニックの対象となる食品・非対象の食品
オーガニックの対象となる食品は有機農産物である野菜や果物、水稲と有機加工食品である醤油や味噌、オリーブオイルなどの2種類でした。2020年7月16日から新たに牛肉や卵、それを使った加工品であるハム・チーズなどの畜産食品やチョコレートやクッキーなど、畜産食品を5%以上含んでいる食品も対象となりました。
反対に対象外となっているのが水産物、加工酒類です。さらに養液と照明を使って人工的に栽培される水耕栽培、ワサビのれき耕栽培の様な土を使わない栽培方法はオーガニックの非対象食品となります。シイタケの菌床・ほだ木栽培も土を使いませんが、栽培に化学物質を使わないことから特例としてキノコ類はオーガニックの対象食品になっています。
「オーガニック・有機栽培」と「無農薬」は同じ?
「オーガニック・有機野菜」の定義について紹介しましたが「無農薬」も農薬を使わないことでは同じイメージがあります。実際には「オーガニック・有機野菜」と「無農薬」は同じと言えるのか解説します。
オーガニック・有機栽培は必ず無農薬なわけではない
オーガニック・有機栽培は必ず無農薬なわけではありません。オーガニック・有機栽培の定義では化学合成された農薬は使えませんが、有機と表示できる微生物を有効成分とする殺菌剤などの天然由来の農薬は使用が認められています。
また、日本では無農薬と表示して販売することが禁止されています。実際には周囲から農薬が飛散されたり、残留農薬が検出されたりし、農薬が全く付着していないと証明するのは難しいことが理由です。農薬や化学肥料を減らすなどの基準を満たすと「特別栽培農産物」と表示して販売することは可能になるようです。
オーガニック・有機栽培の食品の見分け方は?
安全性、健康面のメリットなどからオーガニック・有機栽培の食品を積極的に選びたいと考える場合もあるでしょう。ここからは、オーガニック・有機栽培の食品の見分け方を紹介します。
「有機JASマーク」のシールが貼ってある
オーガニック・有機栽培の食品と認証された場合「有機JASマーク」のシールを貼って販売します。このマークは太陽と雲、植物がイメージされていて認証された国産の食品だけでなく、輸入品も同じマークを貼ることが義務付けられています。
また有機JAS登録認証機関の中に独自の認証マークを発行している法人があり、水産物やはちみつなどは独自マークが貼られているので確認して選びましょう。
オーガニック・有機栽培の食材を活用しよう
オーガニック・有機栽培の食材について解説しましたが、環境・安全、栄養価などのメリットが多いことや自然と共存する意義の大切さが分かりました。自分自身や家族の健康を守るためにも、日々の食生活で良く食べる有機野菜から使ってみるなど積極的に活用しましょう。