ゼラチンの原料とは?魚・豚由来って本当?寒天と成分の違いや使い方なども紹介!
ゼラチンの原料を知っていますか?今回は、ゼラチンの原料・主成分や〈粉ゼラチン・板ゼラチン〉など種類などにくわえ、寒天との違いや使い分け方を紹介します。〈アレルギー・カロリー〉などゼラチンの注意点も紹介するので、参考にしてみてください。
目次
- ゼラチンの原料は?
- ゼラチンの原料は牛・豚・魚の骨や皮などを使用している
- ゼラチンの主成分はタンパク質
- ゼラチンの用途・使い道は?
- ①ゼリー・グミなど食用
- ②医療用
- ③その他
- ゼラチンの種類別の特徴・使い方は?
- ①粉ゼラチン
- ②板ゼラチン
- ゼラチンと寒天の違いは?代用できる?
- ゼラチンと寒天は代用することはできる
- 違い①主成分
- 違い②融点と凝固点
- ゼラチンで注意すべきことはある?
- ①アレルギー反応を起こす場合がある
- ②カロリーが高い
- ③使い方を間違えると固まりにくくなることがある
- ゼラチンが固まらない時の原因・対策は?
- ①ゼラチンの濃度が低い
- ②ゼラチンの液を沸騰させている
- ③タンパク質分解酵素の入ったフルーツを使用している
- ④板ゼラチンをお湯で戻している
- ゼラチンを使った料理レシピ
- ①野菜のテリーヌ
- ②ゼラチンのプリン
- ③ゼラチンのコーヒーゼリー
- ゼラチンをうまく使おう
ゼラチンの原料は?

ゼリーやプリンに使われることの多いゼラチンですが、原料はどのようなものなのでしょうか。
ゼラチンの原料は牛・豚・魚の骨や皮などを使用している
ゼラチンは人間の体内にも含まれるコラーゲンを加熱して抽出した動物性タンパク質で、原料には牛、豚、魚などの動物の骨や皮を使用しています。原料とされる動物は地域によって異なり、ロバの皮から作る場合もあるようです。また、ヴィーガン(絶対菜食主義者)は動物性由来の食品を避けるため、代用品として寒天などを使うそうです。
ゼラチンの主成分はタンパク質
動物の皮や骨を原料とするゼラチンの主成分はコラーゲン由来のタンパク質です。ゼラチン100gには少しのビタミンB群と脂肪も含まれますが、87gはタンパク質が占めています。
ゼラチンの用途・使い道は?

ゼラチンの原料は動物性由来のコラーゲンとわかりましたが、身近ではどのような場面で使用されているのでしょうか。
①ゼリー・グミなど食用
ゼラチンは食用として以下のように使われています。
・ゼリー
・グミ
・マシュマロ
・せんべい
・アイスクリーム
・スープ
・チルドされた流通惣菜
・介護食
ゼラチンの特徴で形を保つ保型としての代表的な使われ方は、ゼリーやグミです。ゼラチンには保型の他に、保水、結着、安定、乳化、気泡などの特徴を持っていて、様々な形で身近な食品に使用されています。また、チルド流通惣菜への使用が注目されていて、ゼラチンを使用すると流通時の品質保持や形崩れ防止などができます。
ゼラチンは栄養価が高く高たんぱくで、介護食でもとろみ剤として多様に使われているようです。むせてしまって水分をうまく飲み込めない人でも、ゼラチンで飲み込みやすくできるので、誤飲性肺炎の予防に役立っています。
②医療用
ゼラチンは医療用として以下のように使われています。
・ソフト、ハードカプセル
・マイクロカプセル
・トローチ剤
・ハップ剤
・座薬
人体に無害なゼラチンは医療用でも使用され、その中でもソフト、ハードカプセルが代表的です。乾燥によって強度のある皮膜が作れ、酸素や水分を透しにくい性質があるため、薬を放出する速度を調節できるマイクロカプセルも開発されています。この他にも、トローチ剤やハップ剤、座薬など様々な医療用品にゼラチンは利用されています。
③その他
ゼラチンはその他に以下のように使われています。
・美容・化粧品分野
・写真の現像
・工業ゼラチン
美容分野でよく耳にするコラーゲンはゼラチンの原料で、保湿力が高く、肌の弾力を保ち、乾燥を防ぎます。コラーゲンを肌から吸収するだけでなく、経口から摂取すると、より一層高い効果が期待できるのです。また、ゼラチンはレントゲンや写真の印画紙に、感光材料の結合剤として使用されたり、工業ゼラチンとして、塗料や墨、人工皮革などにも使われています。
ゼラチンの種類別の特徴・使い方は?

食用だけでなく、医療現場や工業でも使用されているゼラチンですが、ゼラチンの種類や特徴はどのようなのもがあるのでしょうか。それぞれの種類について解説していきます。
①粉ゼラチン
一般的に多く流通している粉ゼラチンは、粉末状になっているのが特徴です。粉末状なので使いたい分だけ計量が細かくしやすいメリットがありますが、粉末のために湿気やすいデメリットもあります。使用する場合はまず水でゼラチンだけをふやかし、そのふやかしたゼラチンを水ごと固める液体と混ぜ合わせます。
正しい分量でないと固まらない場合もあるので、しっかりと計量をしましょう。
②板ゼラチン
板ゼラチンは板状になったゼラチンで、粉ゼラチンとの違いは形状だけです。1枚の分量が決まっているので粉ゼラチンのように計量の必要がないメリットがありますが、細かい計量が必要な場合は不便だというデメリットもあります。使用する場合は板ゼラチンを所定時間水につけた後、水から上げて固めたい液体の中に入れて熱して溶かします。
ゼラチンと寒天の違いは?代用できる?

粉ゼラチンと板ゼラチンの2種類があるゼラチンですが、同じ凝固剤として使用される寒天との違いはどのような点なのでしょうか。
ゼラチンと寒天は代用することはできる
ゼラチンも寒天もつるんとした食感が出る凝固剤なので代用はできます。しかし、柔らかい口当たりで口溶けが良いゼラチンと、歯切れが良い食感が特徴の寒天では口当たりに差が出るので、作りたい料理に合わせて使い分けましょう。ただし、どうしてもゼラチンがない場合に寒天で代用するなら、寒天の中でも風味が良く、柔らかく仕上がる棒寒天がおすすめです。
違い①主成分
ゼラチンと寒天の主成分は以下のように異なります。
【ゼラチンの主成分】
・コラーゲン
【寒天の主成分】
・炭水化物
ゼラチンと寒天の大きな違いの1つは主成分で、ゼラチンはコラーゲン、寒天は炭水化物である食物繊維を主成分に作られています。ゼラチンの原料の動物の皮や骨から抽出された動物性タンパク質と比べ、寒天は赤褐色の海藻の天草が原料なので、ミネラルが豊富です。寒天のカロリーは低いですが、寒天100g中の炭水化物量は81gを占めています。
違い②融点と凝固点
固まる温度 | 溶ける温度 | |
ゼラチン | 20度以下 | 25度以上 |
寒天 | 40〜50度以下 | 70度以上 |
ゼラチンと寒天の融点と凝固点をそれぞれ比較してみると、ゼラチンは固まりにくく溶けやすく、寒天は固まりやすく溶けにくいのがわかります。融点や凝固点に大きな差があるので、2つを混ぜて一緒に使うと、液体がダマになりドロドロした状態になるだけで固めることができません。
(*ゼラチンの代用品について詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。)
ゼラチンで注意すべきことはある?

寒天とは原料や主成分、融点などの違いがあるゼラチンですが、ゼラチンを使用する上で注意すべき点はあるのでしょうか。
①アレルギー反応を起こす場合がある
ゼラチンアレルギーは100万人中30人ほどですが、ゼラチン製品を食べて体調を崩す人もいるようです。ゼラチンアレルギーで特に怖いものが安定剤として注射液に使われるゼラチンです。1990年半ばにワクチンに添加されたゼラチンが原因でのアレルギー症例が相次いだこともあります。
ゼラチンアレルギーは胃に入れば、アレルギー源の力が弱まるので症状はひどくなりにくいですが、注射などの場合は胃を経由しないので重いアレルギー反応が出やすくなります。ゼラチン製品を食べて体調不調になった経験のある人は、一度ゼラチンアがアレルゲンになっていないか確認した方が良いでしょう。
②カロリーが高い
カロリー | 糖質 | |
ゼラチン | 344kcal | 0g |
寒天 | 3kcal | 0g |
※1日の摂取量は成人男性の目安です
※含有量は日本食品標準成分表を参照しています(※1)
寒天は糖質0でカロリーもほぼないのに比べ、ゼラチンのカロリーは100gで300kcalを超えています。ゼラチンは動物性由来のコラーゲンが原料なのでカロリーは高くなりますが、成分内容のほとんどはタンパク質やアミノ酸なので、カロリーは高いですが脂質や炭水化物はほとんど含まれません。
実際に料理やお菓子に使用する量は数g程度なので、あまり気にする必要はないでしょう。ただし、極端に多く摂取するとカロリーオーバーになるので注意が必要です。
③使い方を間違えると固まりにくくなることがある
ゼラチンは分量や戻し方を間違えると固まりにくくなるので、使用する場合はしっかりと分量を計り、使用方法を守るのが大切です。また、使用方法は正しくてもゼラチンと相性の悪いフルーツを使用すると固まりにくいこともあるので、注意が必要です。
ゼラチンが固まらない時の原因・対策は?

料理やお菓子の凝固剤として使われるゼラチンですが、固まらない時はどのように対処したら良いのでしょうか。原因ごとに解説していきます。
①ゼラチンの濃度が低い
固めたい液体の中のゼラチン濃度が低いと、固まらない可能性があります。しっかりと液体とゼラチンの分量を測定し、全体の3%以上のゼラチンを使用することでしっかりと固まります。
②ゼラチンの液を沸騰させている
ゼラチンは一度沸騰させると固まらなくなるので、絶対にゼラチンの入った液体は沸騰させないようにしましょう。熱が原因のゼラチンの凝固不足は、液体を一度冷ましてから新しいゼラチンを加えるとしっかりと固められます。
③タンパク質分解酵素の入ったフルーツを使用している
ゼラチンで固める液体の中にタンパク質を分解する性質を持ったフルーツが入っていると、ゼラチンの固まる力が弱くなります。レモンやみかん、グレープフルーツなどの柑橘類はこのような傾向があり、生のパインにも同じ成分が含まれています。そのようなフルーツを使用してゼリーなどを作る時は、予めフルーツを加熱しましょう。
熱によってフルーツの酵素は働きを止めるので、粗熱をとって使用すればゼラチンでしっかり固められます。
④板ゼラチンをお湯で戻している
板ゼラチンをお湯につけて戻すと、分量通りに計って使用していても表面が溶けて分量が変わる場合があります。分量が変わってしまうと上手く固まらないことがあります。そのため、板ゼラチンを使用する時はお湯ではなく、水につけて戻すようにしましょう。
ゼラチンを使った料理レシピ
ここからはゼラチンを使ったレシピを紹介していきます。ゼラチンを使用する料理を作る時の参考にしてみてください。
①野菜のテリーヌ
並べた野菜をゼラチンで固めたテリーヌです。透明なゼラチンから見える野菜の色味が鮮やかなレシピです。
②ゼラチンのプリン
卵や牛乳などのシンプルな材料で作られたプリンです。ゼラチンの量で食感を好みに変えられるレシピです。
③ゼラチンのコーヒーゼリー
こちらもインスタントコーヒーと水などのシンプルな材料で作られたレシピです。冷凍庫に入れれば20〜30分で固まるようです。
ゼラチンをうまく使おう
料理やお菓子の凝固剤として使われるゼラチンは、身近なところで様々な用途で使われています。液体を固めるのに便利な食材ですが、分量や使い方が違うとうまく固まらない場合もあるので、上手に使って料理やお菓子の幅を広げてみてはいかがでしょうか。