ヤシ油とは?パーム油と違いある?成分「脂肪酸」の健康効果・効能も紹介!
【管理栄養士監修】ヤシ油はどんな油か知っていますか?ココナッツオイルとは違うのでしょうか?今回は、ヤシ油の成分やパーム油との違いにくわえ、体に悪いと言われる理由についても紹介します。ヤシ油の使い道や〈石鹸・シャンプー〉など食用以外の用途も紹介するので参考にしてみてくださいね。
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ヤシ油とは?ココナッツオイルと違いある?
植物由来のヤシ油は日本で一時ブームを巻き起こし、現在でも化粧品をはじめ様々な製品に使用されています。ココナッツオイルも人気が高いですが、ヤシ油と何が違うのかを疑問に思う人もいそうです。ここではヤシ油とは何か、ココナッツオイルとの違いについて説明します。
ヤシ油はココヤシから取れるオイル(=ココナッツオイル)
ヤシ油とはココヤシから採取して精製したオイルをさし、ココナッツオイルと同義です。ココナッツオイルはココヤシの種子内部にある、胚乳から生成された成分のことをいいます。ヤシ油はフィリピンでは「瓶に入った薬局」といわれているほど、健康的な油と認識されています。そのため、日本だけでもヤシ油は年間5万トンほど消費されてるのです。
河野絢子
管理栄養士
中国では有名な女優さんを筆頭にココナッツオイルをヘアケアとして使用したりもしています。美容院仕上げ顔負けの仕上がりになるそうです。ココナッツオイルは酸化しずらい性質があるので髪の潤いを保ってくれるのですね。
ヤシ油の成分と健康効果
ココナッツオイルの原料となるココヤシの胚乳は、65~74%の脂質と4~7%の水分で成り立っています。ヤシ油の主成分は中鎖脂肪酸で、体内で栄養の吸収を高めると共に、新陳代謝を促してたまった脂肪を分解・排出する作用があるのが特徴です。中鎖脂肪酸は近年MCTオイルとして注目されるなど、ダイエットに効果的な天然成分として知られています。
またヤシ油には、ペクチンと呼ばれる糖や脂肪の吸収を阻害する食物繊維も含まれています。水溶性食物繊維であるペクチンは便秘解消をサポートするほか、血糖値の急上昇を抑制することで、脂肪を蓄積しにくくする効果も期待できる成分です。このような特徴からヤシ油には、ダイエット効果があるといえます。(※1、2)
(*ココナッツオイル(ヤシ油)のダイエット効果やその他の効能について詳しく知りたい方はこちらを読んでみてください。)
ヤシ油とパーム油の違いは?
日本でよく使われている植物油脂として、パーム油があげられます。このパーム油はヤシ油と違い、近年は世界的な問題として扱われていることが多いようです。ここでは、ヤシ油とパーム油の違いについて説明します。
パーム油はアブラヤシから抽出したオイル
パーム油とはアブラヤシの中でも、ギニアアブラヤシから抽出したオイルをさします。ギニアアブラヤシの果肉からはパーム油が、種子からはパーム核油が抽出できるため、精製後の価格も安いです。そのため日本においてもクッキーやチョコレート、アイスクリームなどのお菓子をはじめ、マーガリンやショートニングの原料としても使われています。
パーム油の成分など特徴
ヤシ油には健康によい中鎖脂肪酸が豊富に含まれていますが、パーム油は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のバランスがよいことで知られています。飽和脂肪酸であるパルチミン酸の融点が63℃で、不飽和脂肪酸であるオレイン酸は13℃であることから、どちらを多くするかで溶ける温度が調整できるので様々な製品に使えるのです。
前述した通り精製後のパーム油は安価なこともあり、食品だけでなく口紅などの化粧品や洗剤、シャンプーなどにも活用されています。そのためパーム油の生産量は年々増加していますが、ギニアアブラヤシの生息地域は熱帯地方に限られるため、伐採による環境破壊が問題視されているのです。(※3)
河野絢子
管理栄養士
パーム油は酸化防止剤としてBHA(ブチルヒドロキシアニソール)という食品添加物が大量に使用されています。長期間の輸送による酸化を防ぐためです。BHAは、1998年に食品衛生調査会でラットに対して発がん性があると発表されました。2008年にも、「パーム油は動物実験で発癌促進、 寿命短縮などの有害作用を示す」と論文に記されており、パーム油の安全性は少し心配なところも多い現状です。