きゅうりに栄養がないは嘘?効能や栄養価を高める食べ方も紹介!
【管理栄養士監修】きゅうりには栄養がない、栄養を壊すと言われることがありますが本当でしょうか?今回はその真偽ときゅうりに含まれる代表的な栄養素と効能について紹介します。きゅうりの栄養価を高める食べ方もあわせて紹介しますので参考にしてみてくださいね。
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きゅうりは世界一栄養がない野菜?
サラダといえばきゅうりを連想するくらい歯ごたえが良く、いろどりも鮮やかな野菜ですが、きゅうりは栄養のない野菜と思われがちです。実際はどうなのでしょう。水分が多いのは確かですが、本当に栄養効果もない野菜なのでしょうか。
栄養がないわけではない
きゅうりには栄養が無いわけではありません。カリウム、カルシウムを始め、30種類以上の栄養成分を含む立派な野菜です。中には緑黄色野菜に負けない含有量の成分も含まれています。95パーセント以上が水分なので、それぞれの栄養素が豊富に含まれているわけではありませんが、なぜ「栄養がない」という不名誉な評判を得る事になってしまったのでしょう。
カロリーが世界一低い野菜としてギネス登録されている
その原因の一端はギネスブックに登録されている内容です。その記録内容が誤解を生んでいるようです。ギネスの記録では「Least calorific fruit」「最小カロリーの果実」だそうです。「果実」という表現がミソで、日本では「野菜」という認識ですが、イギリスではフルーツの扱いなのですね。
野菜なら、きゅうりよりカロリーの低いものは他にもありますが、フルーツならきゅうりの14kcalを下回るものは無さそうです。この認識の違いによって「1番」の座を得たきゅうりですが、栄養成分に関しては何も触れられてはいません。
きゅうりの栄養素と効能
カロリー | 14kcal |
---|---|
水分 | 95.4g |
タンパク質 | 1.0g |
炭水化物 | 3.0g |
食物繊維 | 1.1g |
きゅうりの不名誉な評判を回復するためにも、きゅうりに含まれる代表的な栄養素と効能についてふれてみましょう。(※1)
※1日の摂取量は成人男性の目安です
※含有量は日本食品標準成分表を参照しています
①カリウム
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
200mg | 2500mg | 8% |
きゅうり100gに含まれれるカリウムは200mgで、これはキャベツやレタスに含まれる量と同じです。カリウムはミネラルの仲間でほとんどの食品に量は違いますが、含まれています。カリウムはナトリウムとともに、細胞浸透圧の維持や水分の保持を担い、腎臓でのナトリウムの吸収を調整するため、むくみや高血圧のリスクを軽減できるとされています。(※2)
②カルシウム
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
26mg | 650mg | 4% |
カルシウムは100g中26mg含まれていて、ほうれん草に含まれるカルシウムの約半分に当たります。カルシウムは体内に最も多くあるミネラルの仲間で、99%は骨と歯に、残り1%が体液や筋肉の中にあります。
この1%のカルシウムの働きは非常に重要で、体液中のカルシウム量の確保は骨の維持よりも優先され、体液中の量が減り外からの吸収量が足りなければ骨を溶かしてまで補充します。
このわずかなカルシウムは細胞分裂から血液の凝固作用に関わり、神経伝達やホルモン分泌にまで使われる成分です。体液中のカルシウムが不足した状態が続けば骨密度の低下や成長期であれば発育障害の原因にもなります。(※3)
③βカロテン
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
330μg | 850μg(ビタミンAとして) | 39% |
βカロテンは100g中、330㎍でピーマンに含まれるβカロテンの8割に当たります。βカロテンは体内でビタミンAに変わるほか、抗酸化作用や免疫を上げる効果があります。ビタミンAは、目や皮膚、粘膜を健康な状態に維持するために働きます。
ビタミンAとしてレバーやウナギなどから摂取した場合、摂りすぎれば肝障害など健康障害を引き起こしますが、βカロテンとして取り込んだものは必要に応じてビタミンAに変えられるため、過剰症は起こらないようです。(※4)
④ビタミンC
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
14mg | 100mg | 14% |
ビタミンCは100g中14mgあり、トマトやアスパラと同じ量に当たります。ビタミンCは体内でのコラーゲンの生成に不可欠です。またストレスへの抵抗力を高め、抗酸化作用や活性酸素を取り除く働きの一部に関与しています。
ビタミンCが不足すると、抵抗力が落ちるため、病気にかかりやすくなったり、ひどくなるとコラーゲンが作られなくなるため、細胞間の結合がゆるみ、血管壁ももろくなるため、体の様々な所で出血を起こす懐血病(かいけつびょう)を引き起こします。天然のビタミンCは摂りすぎても尿から排出するので過剰症にはなりませんが、薬やサプリメントでは過剰摂取による胃腸のトラブルが報告されています。(※5)
⑤食物繊維
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
1.1g | 20g | 6% |
食物繊維は100g中1.1gで、レタスと同じ含有量です。食物繊維は体内には吸収されませんが、健康維持のために大切な働きをしており、第六の栄養素とも呼ばれています。体内の発がん物質などの有害物質を吸着して排出する、デトックス効果があり、腸内の善玉菌を増やすことで、発がん物質ができにくくする働きもあります。ほかにも生活習慣病の予防につながる効果もあります。(※6)
きゅうりは栄養を破壊するって本当?
きゅうりは栄養を破壊すると聞いたことはありませんか?せっかくいろいろな栄養素があると分かったのに、栄養を破壊するといわれては、振出しに戻ってしまいます。本当にそうなのでしょうか。
ビタミンCを壊すと言われている
きゅうりには、ビタミンCを酸化させるアスコルビン酸酸化酵素が含まれていますが、この酵素はビタミンCを還元型から酸化型へ変える働きがあります。
昔は還元型ビタミンCにだけビタミンCの働きがあると考えられていたので、酸化型ビタミンCはビタミンCの量には含まれず、見かけ上ビタミンCの量が減ったと認識されていました。そのため、きゅうりを食べるとビタミンCを破壊すると思われてしまったのです。
宮﨑綾子
管理栄養士
ビタミンCは水溶性のため、長時間洗ったり水につけたりすると流出します。ビタミンCを効率良く摂取するために手早く洗っていただきましょう。
実際には影響はない
この酵素によって「還元型ビタミンC」が「酸化型ビタミンC」へと形を変えただけで、ヒトの体に取り込まれるとふたたび元の形に戻り同じ働きをするため実際には影響がないことが分かり、現在では「酸化型ビタミンC」も同じビタミンCとして扱われるようになりました。
きゅうりの栄養価を高める食べ方
栄養素は様々あれど、含有量が心もとないきゅうりを更にパワーアップして効果的に取り込む食べ方はないか、工夫してみましょう。
①塩漬け
きゅうりのカリウムはナトリウムと協力して働くことが多いので、塩漬けにすることでナトリウム同時に取り込めます。汗をかく時期にはきゅうりの水分と塩のナトリウムで熱中症予防にもなります。塩で漬けるだけなのでカロリーも100gあたり16kcalで、ビタミンKが1.2倍になり、ナトリウムは使う塩の分量に応じて増えます。
ひと口大に切ってから塩をお好みでふりかけ、しばらく置けば浅漬けになります。一本漬けの場合、ピーラーで3~4か所縦に皮をむき、ジッパー付きのビニール袋に入れて冷蔵庫で半日ほどで漬かります。トウガラシやショウガをお好みで加えても美味しいです。きゅうり2本に対して塩小さじ1が目安です。
②ぬか漬け
ぬか漬けにすることできゅうりは米ぬかからビタミンB1を吸収します。ぬか漬けには植物乳酸菌以外にも様々な酵母や各種細菌が豊富に含まれるので、きゅうりの食物繊維との相乗効果で腸内環境を整えることができます。またぬか床にはビタミンB1が豊富に含まれますが、ぬか漬けにすることできゅうり本来のビタミンB1は約8倍になります。
ちなみにきゅうりだけのビタミンB1は0.03mgでビーマンと同じくらいですが、8倍の0.24mgだと生のパセリの倍の量です。ほかにもビタミンB6が4倍、ビタミンK・カリウムは3倍、ビタミンCが1.5倍など増加している栄養素が多くあります。
ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える栄養素の一つで、疲労回復や脳や神経を含めた健康維持に貢献しています。ビタミンB6はたんぱく質の代謝を、ビタミンKは骨の形成と出血時の血液凝固をサポートします。最近では少量の冷蔵庫保管のできるぬか床が手に入るので、手軽にぬか漬けを楽しめます。
(*ぬか漬けの栄養価・効能について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
きゅうりにも栄養がある
栄養がないと思われていたきゅうりですが、数多くの栄養素を含んでいることがわかりました。上手に食べれば栄養が倍増し、相乗効果も期待できるので、食生活にもっと取り入れて行きたいですね。