ぶどうは食べ過ぎNG?下痢・糖尿病や太る原因に?1日の適量など解説!
【管理栄養士監修】ぶどうを食べ過ぎるとどうなるか知っていますか?今回は、ぶどうを食べ過ぎた際の〈下痢・糖尿病・太る〉など症状や1日の適度な摂取量について紹介します。適度な量のぶどうを摂取した際の効能についても紹介するので参考にしてみてくださいね。
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ぶどうの食べ過ぎは体に悪い?
秋に旬を迎えるぶどうは爽やかな甘さが美味しく、手でつまんで食べやすいため何個も口に運んでしまいがちです。ビタミンなどを豊富に含み健康に良いイメージのあるぶどうは、食べ過ぎると体にどんな影響を及ぼすのでしょうか。今回は、ぶどうの食べ過ぎによる健康へのデメリットや、1日の適量などをメリットとも併せて詳しく説明します。
ぶどうを食べ過ぎるとどうなる?
実際にぶどうを食べ過ぎると、体にどのような症状が出るのでしょうか。ここでは、ぶどうを食べ過ぎた場合に体に起こりうる具体的なデメリットを5つ解説します。
①下痢・腹痛
ぶどうに含まれる食物繊維は適量なら便秘解消のメリットがありますが、体内では吸収出来ないので、食べ過ぎると胃腸に負担がかかり腹痛や下痢の原因となる可能性があります。
さらにぶどうには果糖が多く含まれており、糖分の摂り過ぎは体内の浸透圧によって胃腸に水分が集まり、下痢を引き起しやすくなります。また、糖分が胃腸に長く留まると発酵してガスを発生させ腹痛の原因になるため、お腹の張りやすい人は注意しましょう。(※1)
②糖尿病
ぶどうには果糖のほかにもブドウ糖と呼ばれる糖質が含まれていて、食べ過ぎは血液値の急激な上昇に繋がります。このことから、毎日大量のぶどうを食べ続けていると、血糖値が高い状態が続く糖尿病になる可能性もあると言えるでしょう。
糖尿病は空腹感やのどの渇きが強くなったり、頻尿や目のかすみが起きたりするだけではなく、血管や神経に障害が生じることもある生活習慣病です。生活習慣病予防の観点からも毎日大量に食べることは避け、適量を楽しみましょう。(※2)
③太りやすい
ぶどうは100gあたり59カロリーで糖質の含有量は15.2gとなり、同じく秋を代表する果物のリンゴのカロリーや糖質と比較してもほとんど一緒で、とりわけ高いものではありません。しかし、果糖は消化吸収が早い単糖類なので血糖値を上げにくくというのは誤りがあるためたくさん食べても満腹感を感じにくいため、結果的にカロリー過多になりやすいと言えます。
ぶどうに含まれる果糖やブドウ糖などの糖質は、活動量が多い昼間はエネルギー源として消費されやすい栄養素です。夜にぶどうを食べ過ぎると糖質を消費しきれず中性脂肪として蓄えられ、太りやすくなるので量だけではなくタイミングにも気を付けましょう。(※3、4)
④消化不良
食物繊維を豊富に含むぶどうを食べ過ぎると消化不良を引き起こしやすく、前述した通り下痢や腹痛の原因となることがあります。特にぶどうの皮部分に食物繊維が多く含まれているため、皮ごと食べられるマスカットなどの食べ過ぎには注意しましょう。
ぶどうを食後のデザートとして食べる場合は、揚げ物など消化に悪いメニューの後は腹痛を引き起こしやすいので、胃腸の弱い人は少量でも避けた方が無難だと言えます。消化不良を起こすのが心配な時は、皮を剥いてよく噛んで食べたり、皮ごとミキサーにかけてジュースにしたりすると良いでしょう。
⑤身体を冷やす
果物には身体を冷やすものと温めるものがあり、寒い地域で採れるぶどうは身体を温めると言われています。一方で、熱帯地方が原産のパイナップルやマンゴーは身体を冷やす果物です。ぶどうの食べ過ぎが直接体を冷やすわけではありませんが、消化不良による下痢によって体温が下がる可能性が考えられます。
体の冷えは免疫力や基礎代謝の低下の原因となるため、健康や美容の大敵です。ぶどうの体を温める効果を最大限に発揮させるには、食べ過ぎは控えるようにしましょう。
広瀬陽香
管理栄養士
果物の食べ過ぎだけでなく、果汁100%ジュースにも注意が必要です。果物と果汁100%ジュースは同じではなく、加工の段階で血糖値上昇を抑える食物繊維が少なくなってしまい糖質がダイレクトにとれてしまいます。血糖値があがりやすくなるためジュースの頻度にも注意が必要です。
ぶどうの食べ過ぎにならない量は?
どのくらいの量のぶどうを食べると、食べ過ぎだと言えるのでしょうか。ここでは、代表的なぶどうの品種ごとに一日の適量について詳しく解説します。
1日あたり200gほど
厚生労働省による果物の目標摂取量は1日200gとされているので、ぶどうを食べる時はこちらの量を目安にすると良いでしょう。代表的なぶどうの品種ごとの重さは下記の通りです。
・巨峰1房:500g〜750g/可食部400g〜600g/1粒:15g
・デラウェア1房:100g〜170g/可食部85g〜145g/1粒:2g
1日の適量とされる200gはぶどうの品種や個体差にもよりますが、巨峰などの大粒なものは15粒程度で、デラウェアなどの小粒なものなら1房が目安です。ただし、マスカットなど皮ごと食べるぶどうや、種無しぶどうの場合はこれより少なめに食べると良いでしょう。また、小さな子供には大人の半分を目安にして与えるようにしてください。
ぶどうには鉄分が含まれているため、妊婦にもおすすめの果物です。ただし、体重を増やし過ぎないように食事制限をしている場合は、糖質やカロリーに気を付けましょう。ぶどうは200g当たり約120キロカロリーで、お菓子に比べ低カロリーでビタミンなどの栄養も含まれているため、ダイエット中の間食にも向いています。(※5)
ぶどうを適量食べた時の効能・メリットは?
1日の適量を守ってぶどうを食べると、体にはどのような健康効果があるのでしょうか。ここでは、適切な量のぶどうを食べることで、健康や美容にもたらす効能・メリットについて詳しく解説します。
①アンチエイジング効果
ぶどうにはレスベラトロールやアントシアニン、プロアントシアニジンなど幾つかのポリフェノールが含まれています。レスベラトロールは長寿遺伝子を活性化させて、寿命を伸ばすことが注目されている成分です。また、脳の血流量を増やして、アルツハイマーや認知症の予防の効果も期待できます。
アントシアニンは、しわやたるみをはじめとする肌の老化の原因となる、活性酸素の増加を抑制します。プロアントシアニジンにも同様に活性酸素を抑える抗酸化作用があり、血管の老化を防いで血管障害などの生活習慣予防も期待できる栄養素です。
これらの成分は皮や種の付近に多く含まれているため、皮まで食べれるぶどうを食べたりワインを飲んだりするのは、効率的な摂取方法だと言えます。(※6)
②疲労・視力の回復効果
ぶどうに含まれているブドウ糖やは直接脳の栄養源となるので、勉強や仕事中に集中力を上げたい時は間食に取り入れると良いでしょう。また、果糖は素早くエネルギー源に変わるので、運動前の糖質の摂取や運動後の疲労回復にも効率的に働く栄養素です。
加えて、ぶどうは疲れ目やピントが合いにくいといった眼精疲労にも役立つ果物です。ぶどうの青紫の色素に含まれるアントシアニンは、血行を促進させ目の疲れや視力回復に効果があるほか、加齢に伴う老眼や白内障などの眼病予防も期待できます。
③美肌効果
ぶどうにはビタミンA・C・Eといった、美肌効果のある栄養素を幾つも含んでいます。ビタミンAは粘膜や皮膚を健康に保つ効能があります。皮膚や細胞のコラーゲンの合成に必要なビタミンCは、美肌や美白効果・紫外線からのバリア機能の役割を果たし、美容に効果的な栄養素です。
また、血行を促進させるビタミンEも豊富に含むため、肌のくすみやくまなどの予防や改善にも効果を発揮します。このことから、ぶどうは肌トラブルに悩む人や女性におすすめできる果物の一つです。(※7、8、9)
④整腸・ダイエット効果
ぶどうに含まれる食物繊維であるペクチンを摂取すると、腸内で善玉菌の餌となって繁殖し、腸内環境を整えて便秘の解消などに効能があります。腸内の善玉菌は食欲を抑えて代謝を上げる、短鎖脂肪酸と呼ばれる酸を生成するのでダイエットにも効果的です。
ぶどうに含まれる果糖は血糖値を上げにくく、満腹感を感じにくいことはデメリットとして前述しましたが、脂肪を合成させるホルモンのインスリンの分泌を抑えることができます。ゆっくりとよく噛んで食べることで満腹中枢を刺激させるため、温かいお茶などといっしょに楽しむと良いでしょう。
ぶどうはミネラルを豊富に含み、その中でもカリウムが一番多く含まれています。カリウムは体内の塩分濃度を調整し、余分なナトリウムを体内の水分と一緒に排出させることで、ダイエット中に気になる体のむくみを予防するミネラルです。(※10、11)
(*ぶどうの栄養素と効能について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
広瀬陽香
管理栄養士
ぶどうの皮、特に赤や黒の皮を持つものは「アントシアニン」が豊富です。抗酸化作用を持ち、日々人の体でつくられている活性酸素から細胞を守ってくれます。皮ごと食べられるものはむかずに食べてみると良いですね。
ぶどうの食べ過ぎには注意
ぶどうは水洗いするだけで手軽に食べられる所も人気のある果物ですが、食べ過ぎると体に悪影響を及ぼす可能性があることがわかりました。しかし、アンチエイジングや生活習慣病予防など健康や美容に良い効果をもたらす、ビタミンやミネラル・ポリフェノールなどが豊富に含まれています。今回紹介した1日の適量を参考に、ぶどうの食べ過ぎには注意しましょう。