レバーの食べ過ぎは病気の原因に?適量は?栄養価・効能やカロリーなども紹介!
【管理栄養士監修】レバーを食べ過ぎると体に害があることを知っていますか?今回は、レバーを食べ過ぎると起こる症状・病気や1日にどのくらいまで食べていいのかを紹介します。レバーの体にもたらす美容効果なども紹介しているので、参考にしてみてください。
目次
- レバーの食べ過ぎは要注意…?
- レバーの食べ過ぎによる害や病気は?
- ①プリン体によって痛風になる
- ②急性ビタミンA過剰症になる
- ③慢性ビタミンA過剰症になる
- レバーは妊娠中の人には注意が必要?
- レバーを食べ過ぎると流産や死産になる可能性がある
- レバーは1日にどのくらい食べていいの?
- レバーの1日に食べる目安の量を種類別に比較
- レバーを適量食べた時の栄養素の効果・効能は?
- ①鉄
- ②亜鉛
- ③ビタミンB1・B2
- ④ビタミンA
- レバーのカロリー・糖質は高い?低い?
- レバーのカロリー・糖質を種類別に紹介
- レバーのオススメの食べ方・レシピは?
- ①焼く:レバニラ炒め
- ②煮る:鶏レバーの甘辛煮
- ③茹でる:豚汁
- ④ペーストにする:レバーペースト
- レバーの食べる量には要注意
レバーの食べ過ぎは要注意…?

レバーと言えば鉄分、ビタミン豊富な食材と想像する人が多いでしょう。また貧血予防・ダイエット効果を期待して食事に取り入れたい一品です。しかし、レバーの食べ過ぎは体に害を及ぼす可能性があります。妊娠中には特に気を付ける点もあり、具体的な摂取量や、レバーの栄養・効果など詳しく紹介します。
レバーの食べ過ぎによる害や病気は?

レバーの食べ過ぎによる害や病気にはどんなものがあるのでしょうか。レバーに含まれるビタミンAや、鉄分、プリン体など関係しているのでしょうか、具体的に見ていきます。
①プリン体によって痛風になる
通風の原因となる尿酸はプリン体から作られることは有名ですが、元々尿酸は体内に800mg~1200mgあり、体内でのプリン体の合成によって700mgの尿酸が作られています。対して食事からの摂取量は少ないと言われていますが、体外への排出量も少なく蓄積しやすいです。レバーなど内臓系の肉にはプリン体が多く含まれているので、食べ過ぎには気を付けましょう。
尿酸が体内で関節などに蓄積すると尿酸塩結晶となり、針のような結晶が激痛を起こします。プリン体そのものが痛風の原因ではなく、暴飲暴食、激しい運動、肥満などから、血液の尿酸値が上がり痛風になるおそれもあります。現在痛風の方や、高尿酸血症の方はプリン体が多く含まれるレバーなど食べる際は注意し尿酸の蓄積を予防しましょう。
②急性ビタミンA過剰症になる
レバーの食べ過ぎや、ビタミンAを多く含む食材を一気に摂取した場合、ビタミンAは尿中に排泄されないため、体の中に蓄積されます。ビタミンAを大量に摂った場合に、嘔吐や悪心、顔の紅潮や頭痛などの症状が見られますが、急性の場合は、死に至るケースもあるため注意が必要です。
③慢性ビタミンA過剰症になる
レバーの食べ過ぎや、ビタミンAを長期的に食事やサプリメントなどで摂ると、慢性的な症状として筋肉痛、食欲不振、脱毛症、皮膚の荒れ、脳圧亢進、頭痛などが現れます。普通の食事では、ビタミンAを摂り過ぎる心配はありませんが、サプリメントなど併用して摂取していると過剰になる恐れがあります。
竹本友里恵
管理栄養士
レバーは、高たんぱくで低脂質、ミネラルやビタミンが豊富に含まれています。レバーの良い所は栄養価の高さだけでなく、即効性にあります。レバーはビタミンAの前駆体(βカロテン)ではなく、ビタミンAそのものが含まれるので、体内で栄養素を変換する必要がなく、ビタミンAをダイレクトに吸収するできます。また大豆製品や野菜・海藻類から摂れる鉄分は"非ヘム鉄"と呼ばれ、体内吸収率が約10~60%なのに対し、動物性の"ヘム鉄"は約90%と非常に高いです。鉄分はビタミンCと一緒に摂取すると吸収力が上がるので、野菜や果物を取り入れるようにしましょう。
レバーは妊娠中の人には注意が必要?

レバーを妊娠中にたくさん食べると鉄分が摂取でき、体に良さそうですが本当に大丈夫でしょうか。妊娠中にレバーを摂る際に、気を付けるべき点を見ていきましょう。
レバーを食べ過ぎると流産や死産になる可能性がある
ビタミンAの1日の妊娠中の推奨摂取量は、初期から中期まで650~700μg、妊娠後期は+80μg、出産後の授乳期間+450μgを摂取する事が推奨されており、レバーなら、少量で大丈夫です。レバーの食べ過ぎによりビタミンAの過剰摂取に特に気を付けるのは、妊娠初期から3か月頃と妊娠後期です。
ビタミンAは体内に蓄積されやすく、胎児にも吸収され、聴覚や視覚異常や奇形の恐れがあり、最悪の場合は流産や死産につながります。レバーの食べ過ぎは胎児への影響がありますが、妊娠期間は鉄欠乏性貧血になりやすいです。ビタミンAが不足すると目・粘膜・気管・消化管に異常を及ぼす恐れがあるため、適量を摂るよう心がけましょう。
レバーは1日にどのくらい食べていいの?

レバーは1日にどのくらいまでなら食べても大丈夫でしょうか。鶏レバー・豚レバー・牛レバーと種類ごとに具体的な量を見ていきましょう。
レバーの1日に食べる目安の量を種類別に比較
1日に食べていい量の目安 | ビタミンA含有量 | |
鶏レバー | 19g | 2700μg |
豚レバー | 21g | 2700μg |
牛レバー | 245g | 2700μg |
※1日の摂取量は成人男性の目安です
※含有量は日本食品標準成分表を参照しています(※1)
ビタミンAの1日の摂取の上限量は、2700μgです。鶏レバーと豚レバーは少量でおよそ焼き鳥1本程度ですが、牛のレバーはおよそ250gも食べることができ、鶏レバーの10倍以上になります。レバーの食べ過ぎに気を付け、週1回程度の摂取をお勧めします。
レバーを適量食べた時の栄養素の効果・効能は?

レバーにはビタミンAが豊富なことがわかりました。その他にどんな栄養素・効果があるのか、鶏レバー・豚レバー・牛レバーの種類ごとに特徴を見ていきましょう。
①鉄
鶏 | 豚 | 牛 | |
含有量(100g) | 9.0mg | 13.0mg | 4.0mg |
1日の摂取量の目安 | 7mg | 7mg | 7mg |
1日の摂取量に占める割合 | 129% | 186% | 57% |
鉄は最も豚レバーに多く含まれ、牛レバーの3倍ほどになります。鉄はヘム鉄と非ヘム鉄があり、レバーに含まれる鉄は吸収に優れたヘム鉄になります。鉄は体内におよそ3gあり、主に赤血球をつくるために必要です。体の中の鉄はおよそ25%は肝臓に蓄えられ、およそ70%は血液の赤血球のヘモグロビンを構成し、呼吸で取り入れた酸素を体中に運ぶ働きをします。
不足すると赤血球がうまく合成できず、鉄欠乏性貧血や、頭痛、疲れやすくなったりします。ダイエット中に不足しやすいため、適宜補いましょう。(※2)
②亜鉛
鶏 | 豚 | 牛 | |
含有量(100g) | 3.3mg | 6.9mg | 3.8mg |
1日の摂取量の目安 | 10mg | 10mg | 10mg |
1日の摂取量に占める割合 | 33% | 69% | 38% |
亜鉛は、豚レバーや魚介類に多く含まれます。亜鉛は筋肉、骨、腎臓、肝臓にあり、正常に味覚を保ち、粘膜、皮膚の健康を助ける働きがあります。亜鉛は新陳代謝に必要な酵素を作り、ダイエットなど偏った食事をしていると亜鉛不足になる恐れがあるため気を付けましょう。(※3)
③ビタミンB1・B2
鶏 | 豚 | 牛 | |
含有量(100g) | 0.38mg | 0.34mg | 0.22mg |
1日の摂取量の目安 | 1.4mg | 1.4mg | 1.4mg |
1日の摂取量に占める割合 | 27% | 24% | 16% |
鶏 | 豚 | 牛 | |
含有量(100g) | 1.8mg | 3.6mg | 3.0mg |
1日の摂取量の目安 | 1.6mg | 1.6mg | 1.6mg |
1日の摂取量に占める割合 | 113% | 225% | 188% |
レバーはビタミンB群が豊富で、ビタミンB1は鶏レバーが最も多く、ビタミンB2は豚レバーが最も多く含まれています。ビタミンB1は、糖質からエネルギーを合成し、粘膜や皮膚を健やかに保つほか、脳の神経系の働きにも関与しています。不足すると、だるさ、疲労感、食欲不振などが起きることもあり気をつけましょう。
ビタミンB2は発育のビタミンと言われ、発育促進に大事な働きをし、爪、髪、皮膚の再生にも働き、老化の一因とされる過酸化脂質を分解・消去する効果もあります。不足すると皮膚の粘膜など機能が低下し、ニキビ、口内炎、角膜炎などを引き起こすので注意しましょう。(※4)(※5)
④ビタミンA
鶏 | 豚 | 牛 | |
含有量(100g) | 1400μg | 1300μg | 1100μg |
1日の摂取量の目安 | 850μg | 850μg | 850μg |
1日の摂取量に占める割合 | 165% | 153% | 129% |
レバーのビタミンA含有量は他の食材と比較しても特に多く、中でも最も多いのは鶏レバーです。ビタミンAは抵抗力を強め、皮膚の粘膜や目の健康を保つ働きがあり、不足すると長期的な下痢や、薄暗いところで物が見えづらい夜盲症になる恐れがあります。ビタミンAの1日の上限量は2700μgとレバーを食べるとすぐに超えるため、食べ過ぎには注意しましょう。(※6)
竹本友里恵
管理栄養士
肉のレバーは牛や豚や鶏などがありますが、種類によって処理方法や味、含まれる栄養素が違います。最も味が良く、ビタミンB12が豊富なのが牛のレバーで、炭水化物や脂質が多いですがカロリーは低いです。肩こりや腰痛予防、貧血予防に役立ちます。豚レバーは鉄分、亜鉛、ビタミンB2が豊富で、滋養強壮剤として使用されたり、疲労回復効果があります。鶏レバーは最も低カロリーで、ビタミンAやB1が多く、目や皮膚の健康を保ち、ダイエットにも効果があります。クセが少なく滑らかな食感なので、離乳食にも使用できます。レバーは下処理が少し大変ですが、値段が控えめなのでご家庭でも試してみてください。
レバーのカロリー・糖質は高い?低い?

レバーは肉の部位の中でもヘルシーなイメージがありますが、実際のカロリー・糖質はダイエット向きなのでしょうか。鶏レバー・豚レバー・牛レバーの種類ごとに紹介し、ダイエットにおすすめのレバーも見ていきましょう。
レバーのカロリー・糖質を種類別に紹介
カロリー | 糖質 | |
鶏レバー | 111kcal | 0.6g |
豚レバー | 128kcal | 2.5g |
牛レバー | 132kcal | 3.7g |
レバーは他の肉の部位よりも高タンパク質、低カロリー・低糖質ですが、中でも最も低カロリーで低糖質なのは鶏レバーでした。鶏レバーは、ダイエット中のタンパク質の補給におすすめです。
レバーのオススメの食べ方・レシピは?
レバーのおすすめのレシピをそれぞれ焼く・煮る・茹でる・ペーストなどレバーを活用したものを紹介します。
①焼く:レバニラ炒め
牛レバーを使用し、ニラとの相性も抜群です。ニラに含まれるアリシンは疲労回復効果、ビタミンCはレバーの鉄の吸収を高めます。また、レバーに含まれるビタミンAは油と相性がよく、吸収率が上がります。
②煮る:鶏レバーの甘辛煮
鶏レバーを使用しており、生姜でレバーの臭みを和らげてくれるため、レバーが苦手な方も食べやすいです。生姜は体を温め、新陳代謝を高める効果があります。
③茹でる:豚汁
豚レバーを使用した豚汁です。レバーの臭みが気になる方は、レバーをカットした後、下処理の際に水または牛乳に20分ほど浸漬して血抜きをし、流水で洗い流すと臭みが和らぎ食べやすくなります。タンパク質、ビタミンと満腹感も得られダイエット中におすすめです。
④ペーストにする:レバーペースト
レバーと、セロリ、ニンジン、玉ねぎなど野菜も一緒に入っており、ビタミン・ミネラルも摂ることができ、保存食としても使えるため作り置きに便利です。
レバーの食べる量には要注意
鶏レバー・豚レバー・牛レバーとも、鉄分やビタミンと栄養豊富で低カロリー、ダイエット中のカロリーや栄養が気になる方にもおすすめです。しかし、レバーを食べ過ぎるとビタミンAの過剰摂取による病気やプリン体の蓄積、尿酸値の上昇など健康を害する可能性もあります。特に妊娠中の方は、適量を摂り気を付けて食べましょう。