かいわれ大根の栄養成分と効能は?食べ方・レシピや選び方のコツなど紹介!
【管理栄養士監修】かいわれ大根に含まれる栄養素を知ってますか?かいわれ大根はスプラウトで、大根より栄養豊富とされています。今回は、かいわれ大根の栄養成分・効能に加え、食べ方・レシピのおすすめも紹介します。ダイエットなど、活用法も紹介するので参考にしてくださいね。
目次
かいわれ大根はどんな野菜?
かいわれ大根はサラダや料理の付け合わせに登場しますが、野菜としてどんな背景があるのでしょう。

かいわれ大根は「大根のスプラウト」
かいわれ大根は、大根の新芽を人工的に育てた発芽野菜です。発芽野菜のことをスプラウトと呼び、発芽したての双葉が貝が口を開いた形に似ていることから「貝割れ」大根と呼ばれるようになりました。
植物は種から発芽したばかりのスプラウトというのは、これから大きく成長していくための酵素や栄養がたっぷり含まれているため「天然のサプリメント」とも言われます。
熊橋麻実
管理栄養士
スプラウトは植物の赤ちゃんで、成長した野菜とは含まれている栄養成分が異なります。ブロッコリースプラウトや豆苗もスプラウトの状態で売られているもので、今ではスーパーで買えるようになり、身近な存在となりましたね。
大根の栄養と比較すると?
成長した大根とスプラウトのかいわれ大根の栄養はどのくらい違うのか、大きな違いのあるものを見てみましょう。
野菜 | βカロテン | ビタミンE | 葉酸 | ビタミンK | ビタミンC |
かいわれ大根 | 1900㎍ | 2.1mg | 96㎍ | 200㎍ | 47㎍ |
大根 | 0 | 0 | 34㎍ | 0 | 12㎍ |
このほかにミネラルもほとんどが大根よりスプラウトのかいわれ大根の方が多く、ビタミンB群は全て大根より多くなっています。特に含有量の多かったビタミン類は葉酸をはじめ植物がこれから丈夫に成長するために必要な栄養素ばかりです。
かいわれ大根の栄養成分と効能

カロリー | 21kcal |
---|---|
水分 | 93.4g |
タンパク質 | 2.1g |
糖質 | 1.4g |
食物繊維 | 1.9g |
脂質 | 0.5g |
カロリーや糖質量が少ないかいわれ大根はダイエットにピッタリですが、天然のサプリメントと呼ばれる大根のスプラウトにはどんな栄養素と効果があるのでしょうか。(※1)
※1日の摂取量は成人男性の目安です
※含有量は日本食品標準成分表を参照しています
①イソチオシアネート
かいわれ大根の辛み成分の素と酵素の化学反応によってイソチオシアネートという含硫化合物のファイトケミカルが作られます。イソチオシアネートは天然で100種類以上あり、大根に含まれるイソチオシアネートは4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネートというものです。
かいわれ大根のイソチオシアネートは抗酸化作用があり動脈硬化・免疫機能の低下を防ぎ、老化防止のほか血行促進、肝臓や解毒酵素の活性化、発がん物質の解毒など多くの効果があります。加熱に弱く、火を通すと効果が半減するので注意しましょう。
②メラトニン
かいわれ大根に含まれるメラトニンは、脳の中心にある松果体から分泌されるホルモン物質です。体内時計をコントロールするこのホルモンは、目から入る光刺激によってメラトニンの生成量をコントロールし、生体リズムを作り出すので「睡眠ホルモン」と呼ばれることもあります。
睡眠やホルモン分泌のリズム調整を行い、免疫システムの調整や生理作用にも関与するホルモンです。抗酸化作用もあり、活性酸素の増加による肝臓細胞の劣化を改善する報告も海外ではあります。抗酸化作用により活性酸素の脳へのダメージが軽減されるので、アルツハイマーの予防効果もあると言われるホルモンです。
③ビタミンC
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
47mg | 100mg | 47% |
かいわれ大根に含まれるビタミンCは47㎎で一日の摂取目安のほぼ半分、小ぶりなレモン1/2個分のビタミンCが含まれています。ビタミンCの抗酸化作用は抵抗力を高め感染症などにかかりにくくしてくれるほか皮膚の色素沈着を防ぎ内側からの老化防止効果があります。
また皮膚や爪、関節周りのコラーゲンの生成に必要な栄養素で肌の瑞々しさを保ち関節の運動を潤滑にする効果があります。ビタミンCは水に溶けやすい成分なので、調理の際は水に浸けすぎないよう注意しましょう。(※2)
熊橋麻実
管理栄養士
ビタミンCは水に浸けたり、加熱したりすることで水に溶けてしまいます。かいわれ大根は生のまま使いやすいので、ビタミンCをそのまま摂取しやすい食材で、便利です。
④ビタミンK
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
200㎍ | 150㎍ | 133% |
かいわれ大根のビタミンKは200㎍、一日の摂取目安の133%という数値でスプラウトの時にしかありません。ビタミンKの主な効果は血液の凝固に関わることですが、骨を丈夫にする働きもあります。骨の中のたんぱく質を活性化させカルシウムをしっかり骨に吸着させ、骨を形づくる効果があります。
ビタミンKの成分の一部は骨粗しょう症の治療薬としても使われていて、動脈硬化を抑制する効果もあります。(※3)
⑤モリデブン
モリブデンは微量ミネラルとしてかいわれ大根に含まれています。肝臓や腎臓で糖質や脂質の代謝を行うのでダイエットには有効なミネラルです。また有害物質の分解酵素の構成成分となって働き、造血作用があるため「血のミネラル」と言われます。不足すると脈が速くなったり、頭痛・夜盲症の原因になることもあります。
⑥ジアスターゼ・オキシダーゼ
かいわれ大根には成長した大根と同じようにジアスターゼとオキシダーゼという消化酵素が含まれています。ジアスターゼは主に炭水化物を消化するのでご飯や麺類の食べ過ぎを解消してくれます。オキシダーゼは解毒作用があり、発ガン性物質を抑える働きがあります。ただ、消化酵素は熱に弱いので、加熱せず食べるのがおすすめです。
かいわれ大根はどんな場面におすすめ?

かいわれ大根はいくつもの有効成分をもつスーパー発芽野菜です。日常の様々なシーンで役に立ってくれます。
①食べ過ぎ・胃もたれしている場合
かいわれ大根にはジアスターゼをはじめ複数の消化酵素があります。内臓が弱っているときやお付き合いなどで食べ過ぎてしまった時に効果を発揮します。ジアスターゼは炭水化物を、速やかに消化し、これらに加え、イソチオシアネートの働きで、体内の有害物質を解毒してくれます。
②ダイエットしたい場合
かいわれ大根はカロリーや糖質量が低いので、ダイエット向きの野菜といえます。スプラウトは酵素が豊富であるため、炭水化物分解に有効です。また、豊富なビタミンB群やマグネシウムが、スプラウトの酵素と体内酵素をダブルで活性化し、エネルギー代謝や栄養素の分解まで内臓の働きを活発にします。
それにより全身の新陳代謝が活性化し不要な老廃物を排出しやすくします。血管を拡張する成分もあるので、血流も良くなり身体全体の循環が高まりダイエットには効果的に働きます。
かいわれ大根の食べ方・レシピのおすすめ
①大根スプラウトのハム巻きサラダ
かいわれ大根とハム・チーズの組み合わせでたんぱく質を追加しています。合わせるチーズを変えたり、ハムを生ハムやお刺身に変えても楽しめます。
②かいわれ大根焼うどん
和風焼うどんにかいわれ大根をトッピングすることで彩りよく消化も助けます。麺をそばやそうめん、スパゲッティに変えてもレパートリーが増えますね。
③かいわれ大根の白和え
かいわれ大根をシンプルに使った、手軽にできる箸休めの一品です。豆腐の植物性たんぱく質との相性がピッタリです。
かいわれ大根をの保存方法と選び方のコツは?

かいわれ大根の持つ成分を失わないよう保存する方法と新鮮なかいわれ大根の見分け方をお伝えします。
かいわれ大根の保存方法・期間
かいわれ大根を冷蔵庫で保存するなら2つ方法があります。
①かいわれ大根を冷蔵保存する場合
買ってきたときの容器のまま冷蔵庫に入れるなら、上蓋を開けてスポンジが水を吸うくらい入れます。2~3日ごとに水を入れ替えれば1週間ほど持ちます。かいわれ大根をスポンジから切り離して湿らせたクッキングペーパーを引いた保存容器に入れておいても1週間近く持ちます。
②かいわれ大根を冷凍保存する場合
かいわれ大根を容器から取り出し、根元を切り離して使いやすいサイズにカットし冷凍保存袋に入れて冷凍庫へ入れてください。1時間ほど後に一度取り出し、軽く振ってバラバラに解してから再び冷凍庫で保存すると、使うときに便利です。冷凍すると1か月ほど持ちます。
かいわれ大根は酵素を多く含んでいますが、酵素は冷凍すると休眠状態になり自然解凍すれば戻るので効果が失われません。食感は加熱したときのようにクッタリしますのでサラダには不向きですが、和え物やお浸しには良いですね。
新鮮なかいわれ大根の選び方
上手に保存できても新鮮なかいわれ大根を選ばなければ長持ちしませんね。
・双葉の色が変色がなく濃い緑色
・茎がピンと張っている
・容器の蓋まで育っていない
・スポンジがきれいで真っ白なひげ根が張っている
お店で購入するときは、このような点に気を付けてみてください。葉の色や茎の状態はもちろんですが、容器の蓋に届くほど成長しているのは出荷してから時間が経っています。根元のスポンジも色が変色している場合は雑菌を疑いますね。ひげ根がびっしり生えすぎているのも時間が経っている場合があります。
かいわれ大根は栄養豊富な野菜
かいわれ大根は酵素たっぷりの栄養野菜です。成長した野菜には無い貴重な成分がたっぷりあるので、ぜひ沢山取り入れてくださいね。