水耕栽培の野菜が危険とされる理由は?農薬・液体肥料など化学物質に懸念あり?
【管理栄養士監修】水耕栽培の野菜は危険と言われますが本当でしょうか?今回は、そもそも水耕栽培とはどんな栽培方法なのか、メリット・デメリットを比較しながら、〈肥料・農薬〉など水耕栽培の野菜が危険と言われる理由も紹介します。自宅で水耕栽培で野菜を育てる方法も紹介するので参考にしてみてくださいね。
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水耕栽培の野菜は危険?安全?
近年、水耕栽培で育てられた野菜が増えており、土を使わない栽培のため広大な土地も必要なくビルの一室で野菜が育てられるようになっています。非常に便利で効率的なように思う水耕栽培ですが、一方で危険という声もあり安全性を懸念する人もいます。今回は、水耕栽培は本当に危険なのかどうか、安全性に問題があるのかなどについて説明しましょう。
水耕栽培とは何?どんな栽培方法?
水耕栽培とはまだ広く認知されていない方法ですが、実際にどのような環境や方法で野菜を栽培しているのでしょうか。ここでは水耕栽培に使われる道具や肥料、そして栽培方法を詳しく説明します。
土を使わずに水・液体肥料のみで育てる栽培方法のこと
水耕栽培とは、今まで野菜の栽培で必須と考えられていた土を使わずに、水と液体肥料のみで野菜を栽培する方法です。土を使わずに、部屋の中でも育てることができるので、野菜が虫によって傷つけられることもなく、見た目の整った野菜が出来上がります。
室内で育てる場合は、人工的な光を作り出す機械を使い、LEDなどの人工日光をあてることで野菜が成長します。日本のように地震や洪水などの自然災害が多い国では、水耕栽培のような室内で野菜を育てることができる、天候に左右されない栽培方法は今度発展していく可能性は高いでしょう。
水耕栽培の野菜に栄養価はあるの?
土を使わない栽培方法には様々な意見があり、出来た野菜の栄養価が落ちてしまうという考えもありますが、実際は同じかそれ以上の栄養価のある野菜が育ちます。野菜にとって土に根を伸ばすことはエネルギーが必要です。
しかし、水耕栽培の場合はそういったストレスがなく根をはることができ、根から吸収した栄養や水分は全て野菜そのものに送ることができます。最近では少しずつですが水耕栽培で育てられた野菜もスーパーで並ぶようになってきたので、その栄養価についてはより注目され始めています。
広瀬陽香
管理栄養士
野菜の栄養価はいつでも同じわけではなく、土の状態や今回のように栽培方法により微妙に変化することがあります。また、旬であったり野菜が新鮮な状態であるほどに栄養価をより高い状態で摂取することができます。
水耕栽培の野菜は危険と言われる理由は?
ここまであげた内容では水耕栽培に危険性はないように思われますが、危険性があると言う人たちもいるようです。いったいどのような危険性があると言われているのか、ここでは水耕栽培には本当に危険性があるのかも含めて説明します。
①液体肥料の安全性に懸念がある
水耕栽培を行う上で必ず必要になる液体肥料は、水だけでは野菜に十分な栄養を与えることができないため使用されています。この液体肥料に農薬が入っていると懸念する人もいますが、実際には農薬などは含まれておらず、人体への悪影響もありません。
水耕栽培は土を使わないため、虫による土壌汚染や食害、病気などの連作障害の心配もなく、無農薬で野菜を栽培することができるので安全性が高いです。液体肥料を使うことで野菜の品質を保て、無農薬にもかかわらず虫や菌の被害を受けないため、土耕栽培よりも安全性の高い野菜を作ることが可能です。
②液体肥料の過剰投与による発がん物質の増加
水耕栽培で使われる液体肥料に発がん性の化学物質が入っているという意見もあります。しかし、液体肥料に使われている原料は全て国の基準をクリアしたもので、農薬の使用や発がん性の心配もなく、保存方法を守れば成分変化も起こりにくいです。液体肥料を使わない時は密閉状態にして日光の当たらない場所に置いておくと良いでしょう。
液体肥料に含まれる窒素やリンなどの成分は、土耕栽培で使われる有機肥料と成分はほぼ同じため、安全性を心配する必要はありません。
③水耕栽培の野菜の病原菌への耐性が少ない
水耕栽培の野菜は病原菌が発生した際に耐性が少ないと言われますが、結論から言うとこれは事実です。水耕栽培はできるだけ無菌の状態で野菜を育てますが、人や物が行き来する場所では病原菌を完全になくすことは難しく、病原菌が発生した際は耐性が少ないのですぐに広まってしまいます。
しかし、現在はこの病原菌に対する対策が考えられています。病原菌を殺す技術も1つですが、逆に水耕栽培中に菌を繁殖させて、病原菌に強い野菜作りなどの技術が開発されているのです。