黒豆の栄養素と効能は?成分を逃さない食べ方・調理法など紹介!
【管理栄養士監修】黒豆に含まれる栄養素を知っていますか?お正月にはおせちの食材として人気の黒豆ですが、今回は黒豆の栄養成分・効能に加え、栄養成分を効率的に摂れる食べ方も紹介します。食べ過ぎの注意点やレシピも紹介するので、参考にしてみてくださいね。
目次
黒豆には、血液中に含まれるヘモグロビンを生成する鉄分も豊富です。体内の鉄分が不足するとヘモグロビンが減少し、酸素が体中に供給できなくなるため、頭痛や息切れなど貧血の症状があらわれます。女性は妊娠や月経などで鉄分が失われる機会が多いため、積極的に摂取することが推奨されています。(※5)
⑤アントシアニン
アントシアニンはポリフェノールの一種です。黒豆の黒さはこのアントシアニンによるもので、他にブルーベリーやレーズン、黒ごまなどにも含まれています。アントシアニンは、疲れ目の回復に効くことでよく知られていますが、血糖値の上昇をゆるやかにする効能があることも分かっています。
また、抗酸化作用が非常に強く、紫外線によるダメージから体を守るはたらきもあります。老化の原因となる活性酸素の発生を抑える性質があり、肝機能の改善にも役立つと言われています。シミやシワなど肌のトラブルを抑制する効果も期待でき、アンチエイジングには欠かせない栄養成分のひとつです。
⑥イソフラボン
黒豆にもポリフェノールの一種である大豆イソフラボンが含まれています。イソフラボンは、エストロゲンという女性ホルモンと同じはたらきをするため、ホルモンバランスの乱れを直す効能があり、更年期障害を改善に役立ちます。女性に多い骨粗鬆症の緩和や乳がん予防にも効果が期待できると言われています。
ただ、妊婦の過剰摂取には注意が必要です。女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2種類があり、生理や妊娠をコントロールしています。妊娠中はホルモンの分泌量が増しますが、ここにイソフラボンを大量に摂取すると、エストロゲン量のみが増加し、ホルモンバランスの乱れにつながります。妊婦の方特には適量を心掛けるようにしましょう。
鈴木真美
管理栄養士
現時点では、妊婦にどのくらいのイソフラボンの摂取であれば良いのか科学的に明らかになっていません。 日常的な摂取であれば問題ないと思いますが、サプリメント等で過剰に摂取することは控えた方が良さそうです。
⑦サポニン
黒豆を煮ると泡がたくさんでるため、アクとして取り除くことが多いでしょう。しかし、これは煮汁にサポニンが溶け出したものです。えぐみやに苦みのあるサポニンですが、強い抗酸化作用があるためエイジングケアの効果に期待できます。また、体内の余計な脂肪や糖質の吸収を抑えるはたらきがあるため、動脈硬化や肥満を予防すると言われています。
旨味を出すために取り除いてしまいたくなりますが、泡にも栄養成分が多く含まれていることを知っておきましょう。
黒豆の栄養成分を効率よく摂れる食べ方は?
紹介したように黒豆にはたくさんの栄養成分が含まれています。では、その栄養成分を少しでも効率よく摂取するためにはどのような工夫をすれば良いのでしょうか。
黒豆の煮汁まで食べる
上記の通り、黒豆の煮汁にはたくさんの栄養成分が溶け出しています。煮汁の健康効果の中には他にも、血圧を下げる、血液をサラサラにし、血流を改善するといったはたらきがあります。高血圧は血流の悪化により血管に強い圧力が加わって引き起こされるため、血流の改善は高血圧の根本的な改善につながります。
黒豆そのものを食べるのも良いですが、煮汁は液体である分、血液中への吸収効率も高いです。黒豆を煮た時には、栄養成分がたくさん溶け出した煮汁も一緒に食べるようにしましょう。
黒豆を食べる際の注意点は?
黒豆の栄養を効率よく摂取する方法が分かりました。豊富な栄養が摂れるならたくさん食べようと思ってしまうところですが、ここからは黒豆を食べる際の注意点について紹介していきます。
食べ過ぎない
黒豆の食べ過ぎには以下のような悪影響が認められています。黒豆は栄養成分がたくさん含まれていますが、それに安心せず、量に気をつけて食べるようにしましょう。
・ホルモンバランスの乱れ
・下痢
・アレルギー症状
イソフラボンは女性ホルモンのひとつエストロゲンと同じはたらきがありますが、イソフラボンの過剰摂取はホルモンバランスの乱れにつながります。妊婦に限らず、ホルモンバランスの乱れは健康に影響を与えるので注意が必要です。また、黒豆の効能のひとつに便通の改善がありますが、過剰摂取は下痢につながります。
日常的にイソフラボンを過剰摂取してしまった場合、アレルギー症状を引き起こすことがあります。もともと大豆アレルギーのない人でも過剰摂取を慢性的に続けていると、アレルギーを発症する恐れがあるので気を付けてください。
1日の摂取量の目安
黒豆に含まれるイソフラボンは過剰摂取に注意が必要です。では、摂取量の目安はどれくらいなのでしょうか。大豆には100gあたり約140mgのイソフラボンが含まれています。食品安全委員会では、1日の摂取目安量を70~75mgとしています。特定保健用食品での上乗せは30mgとされ、乳幼児・小児・妊婦については上乗せは推奨されていません。
イソフラボン70mgを大豆に置き換えると約50gです。調理済みの市販品(煮豆)に換算すると約190gになります。