スイカの栄養素と効能は?種・皮にも豊富?夏バテ防止に効果ありって本当?
【管理栄養士監修】スイカに含まれる栄養成分を知っていますか?夏になると食べたくなりますが今回は、スイカの栄養素と効能にくわえ、食べ方のおすすめも紹介します。栄養価の高い旬の時期や美味しいスイカの選び方も紹介するので、参考にしてみてくださいね。
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スイカはどんな野菜?果物?
スイカは夏の風物詩ですが、どんな野菜なのでしょう。果物売り場に並ぶスイカの野菜としての立場とおいしい旬についてお伝えします。
スイカは「果実的野菜」に分類
スイカは果物なのか野菜なのか、はっきりしませんが、野菜とは植物の生態が草であること、果物は果実として木に実をつけるものと省庁では定義づけされます。そのため生産者は野菜として栽培しますが、小売店では果物として扱うため「果実的野菜」という野菜と果物の間をとった分類になったようです。
高岡由貴
管理栄養士
園芸分野では野菜と分類され、栄養学的には果物と分類されている珍しい食べ物ですね!
(*スイカが果実的野菜に分類される理由について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
スイカの旬・美味しい時期
スイカの旬は6月中旬から7月にかけてと言われます。北半球にある日本列島が強い太陽光線を浴びる時期だからですが、関東地方の場合は梅雨と重なってしまうので、実際は梅雨の直前と梅雨明け後となります。
スイカは太陽の強い光をたくさん浴びるほどよく育ち、甘くなる植物なので、厳密には生産地によって微妙な差はあります。出始めの5~6月は九州産が、6~7月は関東地方、そのあとは青森、北海道となります。
スイカの栄養素と効能は?
カロリー | 37kcal |
---|---|
水分 | 89.6g |
タンパク質 | 0.6g |
糖質 | 9.2g |
食物繊維 | 0.3g |
脂質 | 0.1g |
太陽の光が強い時期に旬を迎えるスイカは夏バテした身体をスッキリさせてくれます。スイカの瑞々しさに含まれる栄養と効能を見てみましょう。(※1)
※1日の摂取量は成人男性の目安です
※含有量は日本食品標準成分表を参照しています
①カリウム
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
120mg | 2500mg | 5% |
カリウムには、体内の余分な水分や老廃物をナトリウムと一緒に排出する働きがあります。また多数の酵素を活性化させるため筋肉の収縮やエネルギー代謝、神経伝達など様々な働きをします。むくみや高血圧、夏バテの予防・改善に効果があります。
種にもカリウムが多く利尿作用があり、中国では種を炒って中の仁だけ食べます。割ってお茶にするのも効果があります。(※2)
高岡由貴
管理栄養士
カリウムは素晴らしい栄養素ではありますが、腎臓機能の低下によりカリウムの調整ができなくなり高カリウム血症になるため、腎臓機能が低下している方は摂取量に注意してください。
②βカロテン
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
830㎍ | - | - |
βカロテンは体の中でビタミンAに変換される栄養素で、抗酸化作用を持つため免疫力をの向上に期待ができます。また、皮膚や粘膜を健康に保つ働きや、うす暗い所で視力を保つ働きもあります。
ビタミンAが不足すると暗がりで見えずらくなったり、皮膚や粘膜、目の角膜などが水分を失い乾燥したり角質化するなどの症状を起こします。ビタミンAは過剰摂取すると健康を損なうので、βカロテンとして体内に蓄えることが勧められます。(※3)
③リコピン
スイカの実の赤い色はリコピンによるものです。リコピンはプロビタミンAと呼ばれ、βカロテンと同じようにビタミンAのように働く栄養素ですが、βカロテンより強力で2倍の効果があると言われます。強力な抗酸化力により身体の酸化を防いでくれるので様々な生活習慣病の予防・改善効果があり、がんの予防が期待される成分です。(※4)
④シトルリン
スイカの白い部分に多く含まれるシトルリンは〈スーパーアミノ酸〉と呼ばれ、アメリカでは人気の成分です。シトルリンは皮膚を健康にする天然保湿因子を作るアミノ酸の一種ですが、血管を拡張し血行を良くする効果もあります。
そのため持久力UP、疲労回復、集中力・記憶力UP、むくみ解消、冷え性改善、アンチエイジングと多岐にわたり効果がみとめられ、夏バテ防止が期待できます。また一酸化炭素の生成を促す効果から男性機能障害の回復・改善効果について研究中の成分でもあります。
高岡由貴
管理栄養士
ただ単に甘くておいしい、だけではないスイカに詰まった栄養素の魅力を知っていただけたでしょうか?夏になったら甘味としてではなく、健康のためにも食べたいですね!
スイカの栄養が取れる食べ方は?
夏場の代謝が悪くなった体を元気にする効果が期待できるスイカの栄養素を無駄なく摂る食べ方を紹介します。
①塩分と一緒に食べる
スイカはカリウムやシトリンという疲労回復や夏バテに効果のある成分、体内のサビを防ぐβカロテンやリコピンという成分に恵まれているので、塩分のミネラルを一緒にとるだけで天然のスポーツドリンクとなり、熱中症の予防にも効果が発揮されます。昔から塩をかけてスイカを食べますが、理にかなっていたのですね。
②皮や種も食べる
スイカの種や皮の白い部分にも優れた成分が含まれています。捨ててしまうのはもったいないので、無駄にせず食べて栄養を取り入れましょう。皮は外側の緑色の皮をうすく剥けば、浅漬けやサラダに、冬瓜のように利用してもいいですね。種は炒ってからつぶしてお茶にすると栄養を取り出しやすく飲みやすいでしょう。
食べ過ぎには要注意
スイカは水分が多く体を冷やしますから、食べ過ぎれば下痢をしてしまいます。くれぐれも食べ過ぎには注意しましょう。
スイカの選び方のポイントは?
おいしいスイカはどこで見分ければよいのか、ポイントを知っておきましょう。
①叩くと鈍い音がする
スイカを叩いて鈍い音がする場合は、熟し過ぎています。両手でスイカを挟み、片側から軽く叩いたときに反対側に軽く振動が伝わるものは水分が入って空洞がありません。スイカを叩いて確認できるのは熟しているかより水分がしっかり入っているかです。最近のスイカは品種改良も進み、昔のように空洞があるスイカはほとんど無いようです。
②模様がはっきりしている
スイカの緑の濃淡が縞がハッキリしていれば、太陽の光をしっかり浴びて光合成ができている証拠です。模様がぼやけていればあまり甘くない可能性があります。
③表面がでこぼこしている
表面の縞と縞の間の緑の部分が膨らみがあれば糖分をためて甘いスイカです。かすかな膨らみですが、軽く撫でて確かめてみてください。
④ツルの根元がへこんでいる
スイカは熟してくると実が張ってきてツルの根元がへこんでいるように見えます。反対側のおしりの方は、花がらがとれた部分が茶色く広がってくるのでこの部分が小さいより大きいほうが熟していることになります。ツルは緑色で乾いていないものが収穫したてで新鮮です。
(*美味しいスイカの選び方や食べ頃の見分け方について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
スイカは栄養豊富な野菜
スイカは暑さと紫外線にさらされた身体に必要な栄養分をふんだんに満たした夏場のお助け野菜です。塩分をプラスしてスイカの栄養を十分に取って体調管理をしましょう。