ししとうの栄養価と効果・効能は?成分を逃さない調理法や辛さの見分け方も紹介!
【管理栄養士監修】ししとうに含まれる栄養素を知っていますか?疲労回復や夏バテ予防にも食べたいししとうですが、今回は、ししとうの栄養成分・効能に加え、栄養素を逃さない調理法・食べ方を紹介します。辛いししとうを見分ける方法も紹介するので、参考にしてみてくださいね。
(このページにはPRリンクが含まれています)目次
ししとうはどんな野菜?
ピーマンに似ていて、料理の脇役として活躍するししとうですが、収穫時期や美味しく食べられる時期はいつなのでしょうか。新鮮なししとうの選び方や、カロリー・糖質についても、あわせて紹介します。
ししとうの旬
ハウス栽培も行われているため、年中出回っているししとうですが、ハウス栽培ではない露地栽培の場合の収穫時期は、6月下旬から12月上旬ごろまでです。そのうちの、7~8月下旬が旬にあたります。
上西智佳
管理栄養士
ししとうは、先端が獅子の口に似ていることから、「ししとう」という名前がついたといわれています。
新鮮なししとうの選び方
新鮮なししとうには、どのような特徴があるのでしょうか。
・緑が濃く鮮やか
・細く小さめ
・つやがある
・香りが良い
・やわらかい
ししとうの収穫は若いうちにされるため、新鮮なししとうは小ぶりでやわらかいです。反対に、サイズが大きい・固いものは食べられる時期を過ぎてしまっているため、避けたほうが良いでしょう。ヘタが黒くなっているものも、鮮度が落ちています。
ししとうのカロリー・糖質
カロリー | 糖質 | |
ししとう | 27kcal | 2.1g |
ピーマン | 22kcal | 2.8g |
※含有量は日本食品標準成分表を参照しています(※1)
上記は、100g当たりのカロリーと糖質です。見た目が似ているピーマンと比べると、ほぼ同程度と言っても良いでしょう。どちらも、低カロリーでヘルシーな野菜です。
ししとうの栄養成分と効能
カロリー | 27kcal |
---|---|
水分 | 91g |
タンパク質 | 1.9g |
糖質 | 2.1g |
食物繊維 | 3.6g |
脂質 | 0.3g |
※1日の摂取量は成人男性の目安です。
ここでは、ししとうの栄養素とその効果・効能について紹介します。
①βカロテン
含有量(100g)(レチノール活性当量) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
44μg | 850μg | 5% |
※1日の摂取量の目安はビタミンAの数値です。
上記の表は、βカロテンが体内ではビタミンAとして作用するため、ビタミンA作用として換算しています。βカロテンとは特に緑黄色野菜に多く含まれていて、体内でビタミンAが不足すると、βカロテンをビタミンAに変えて作用します。ビタミンAの過剰は健康障害を引き起こしますが、βカロテンでは摂りすぎても危険がないため、βカロテンで摂ると良いでしょう。
老化防止・免疫力アップの効果がある抗酸化作用を持ち、さらに、肌や髪を美しく保ち、疲れ目を改善するなどの効能が期待できる栄養素です。βカロテンは動脈硬化予防にも期待されています。(※2)
②ビタミンK
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
51μg | 100μg | 51% |
ししとうにはビタミンの含有量が多く、ビタミンKは、血液を固める働きや、カルシウムが動脈に付くことを防ぎ、こちらも動脈硬化予防が期待できます。さらに、骨を強くする効果があるため、骨粗鬆症の薬にも使われており、育ち盛りの子どもだけでなく、女性が積極的に摂ると良い栄養素と言えるでしょう。
また、ビタミンKは出血を抑える働きもあることと、摂りすぎて弊害が出ることはありませんので、妊婦~授乳期までしっかり摂ると良いでしょう。(※3)
③ビタミンC
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
57mg | 100mg | 57% |
ビタミンCはたくさん摂ったとしても、体内に蓄積されない栄養素のため、摂りすぎの心配はありません。過剰摂取例が過去にないことなどから上限はなく、目安として1日100㎎が設定されています。ししとうは、サイズは小さいですがビタミンCが豊富です。
ビタミンCには、疲労回復・老化予防・免疫力アップ・ストレス耐性アップ・抗酸化作用などの効能が期待できます。さらに、コラーゲンの生成・メラニン色素を分解する効果があるなど、紫外線が強い時期には意識して摂りたい栄養素です。(※4)
④カリウム
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
340mg | 2500mg | 14% |
カリウムには、生活習慣病を予防したり、血圧を下げる・むくみを取る・筋肉の動きを正常にするなどの効能があります。特に夏場では、汗と一緒に体外へ出てしまい夏バテを引き起こす原因になるため、予防効果の期待できる栄養素です。様々な食品に含まれる栄養素のため、1日3食きちんと食べて入れば、不足の心配はほとんどないでしょう。
ただし、腎機能が低下している場合は、カリウムの排出がうまくされない場合があるため、摂りすぎに注意が必要です。(※5)
⑤ビタミンB6
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
0.39mg | 1.4mg | 28% |
タンパク質をいくら摂取しても、ビタミンB6が無いと、分解・吸収してエネルギーにすることができないため、とても重要な栄養素です。ビタミンB6が欠乏すると、皮膚や口内に炎症を起こしたり、貧血を引き起こします。逆に取り過ぎた場合には、感覚神経障害が起こることもあります。
また、ビタミンB6も妊婦には必要な栄養素で、つわりが軽減されるという研究報告もあります。妊婦のつわりが軽減されると、食欲も戻るため、妊娠初期に積極的に摂ると良いでしょう。ビタミンB6は、体に蓄積されない水溶性ビタミンのため、普段の食生活で過剰摂取になることはありません。(※6)
⑥カプサイシン
辛み成分のカプサイシンは、新陳代謝や食欲増進を促す効能があります。妊婦は、辛いものを控えた方が良いと言われたりしますが、香辛料などの辛み成分は、胎盤を通さないので胎児へ影響することはありません。辛いのが好きな方ならば、妊婦だからと我慢せずに、食べても大丈夫ですが、食べ過ぎると胃が荒れることも有るので注意しましょう。
しかし、妊婦の中にはつわりがひどくて食べられなかったり、お腹が膨らんでくると胃が圧迫されて、消化がうまくいかないこともあります。体調と相談しながら、妊婦期間中は無理に辛い物を食べ過ぎないように注意しましょう。
⑦食物繊維
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
3.6g | 20g | 18% |
食物繊維は体内に吸収される栄養素ではありませんが、腸内環境を整えて便秘を改善する働きが有名です。ししとうに含まれる不溶性食物繊維は、腸の動きを刺激して便の量を増やすがあります。不溶性食物繊維が多いものを食べすぎると、普段から便の固い人は悪化のおそれがありますが、妊婦や腸の働きが低下している人には便秘改善の効果が期待できるでしょう。
その他に、食後の血糖値を上がりにくくする効能があり、生活習慣病の予防に効果的な栄養素ですが、現代の食事では不足しがちですので、積極的に摂りたい栄養素と言えます。(※7)
ししとうの栄養成分を逃さない調理法・食べ方は?
ししとうの栄養成分を逃さない調理法・食べ方にはどのような方法があるでしょうか?調理の際のポイントを紹介します。
①油と一緒に摂取する
βカロテンやビタミンKは脂溶性のため、油と一緒に摂ると吸収がよくなる栄養素です。炒め物ものにいれたり、てんぷらや素揚げにしても良いでしょう。カットせずに加熱すると、破裂することがあるため、調理の前に爪楊枝で穴を数か所あけておくと、破裂を防げます。
②短時間の加熱か生食で食べる
ビタミン類やカリウムは加熱に弱いため、加熱するなら短時間で済ませるか、生食で摂るのも良いでしょう。生食で食べるなら、油と相性が良い栄養素も含まれるため、オイルドレッシングをかけてサラダにして食べることもおすすめです。
(*ししとうの生食について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
③種・わたも食べる
ししとうは種・わたにも、栄養素が豊富に含まれているので、一緒に食べるのが良いでしょう。調理の際に、取り除く手間も省けるので、いいことずくめです。新鮮なししとうの種はやわらかいため、食感も気になることはないでしょう。
(*ししとうの種について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
上西智佳
管理栄養士
生のものを保存する場合は、水分をふきとってから乾燥を防ぐためにビニール袋などに入れて、野菜室(10℃前後)で保存するのがおすすめです。寒さに弱い性質があり、保存の温度が低いと品質や栄養面でも障害をきたしてしまいます。
辛いししとうを避ける方法は?
辛いししとうは見た目で判断できるのか、特徴が分かれば避けやすくなりますね。判断に役立つポイントを紹介していきます。
辛いししとうの特徴
辛いししとうを見た目で判断するポイントです。
・光沢がない
・皺が少ない
・縮れ気味、異形のもの
・香りが強い
スーパーなどで販売されているししとうは、農家の方が選別してくれているため、辛いものに出会う可能性は低いです。しかし、どうしても全て選別できずに、辛いものに混ざってしまうことがあり、そのために「食べるロシアンルーレット」とも言われます。見た目では、先が尖った形や縮れたものは辛いことが多いようです。
見た目以外のポイントでは、ししとうはストレスに弱いため、真夏に収穫したものも暑さのストレスがかかり、辛いことがあります。また、身と種は同じ辛さであるため、種が辛いと身も同じくらい辛いです。
(*ししとうが辛い理由と見分け方について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
ししとうの栄養価が取れるレシピ
ししとうは加熱しても、生で食べても栄養が摂れる食材であることが分かりました。ししとうの栄養を効果的に摂ることができるレシピを紹介します。
①ししとうの焼き浸し
作り置きをして、お弁当にも入れられるレシピです。ごま油で焼くため、香りが食欲をそそります。
②ししとう・豚コマ・なすの味噌炒め
ししとうの他に、なすと豚肉で油と相性のよいレシピです。味付け前にししとうを投入し、短時間で火を入れて整えると栄養を逃がさないでしょう。油とタンパク質が一緒のレシピで、栄養を効果的に摂ることができます。
③ししとうと大根のサラダ
ししとうが見た目と味にアクセントを添えています。簡単に作れる上に、大根をニンジンや玉ねぎに変えても美味しそうです。油を使わないので、さっぱりヘルシーに食べられます。種は捨てずに一緒に食べてくださいね。
④ししとうとウインナーの串揚げ
相性の良い油で、ウインナーと一緒に揚げたレシピは、お弁当・おやつ・おつまみとしても活躍しそうです。
⑤ししとうの中華風サラダ
生のししとうを、千切りにして使うところがポイントです。例え辛いものが混ざっていても、お肉や春雨と一緒に食べると、気にならなくなりそうです。こちらのレシピでも、種を捨てずに、一緒に摂るようにしましょう。
⑥明太ししとうの天ぷら
ししとうの中に、明太子をつめて天ぷらにしています。切ったときの色どりも良く、お弁当やおつまみになります。
ししとうは栄養豊富な野菜
ししとうは小さいけれど、栄養豊富な野菜であることを紹介しました。10%の確率で辛いものに当たることもありますが、健康に良い食材です。加熱しても、生でも美味しく食べられるししとうを、上手に普段の食事に活用してみてください。