じゃがいもの栄養価と効能は?皮にも豊富?成分を逃さない調理法など紹介!
【管理栄養士監修】じゃがいもに含まれる栄養素を知っていますか?調理の途中で作られる有効な成分もあります。今回は、じゃがいもの栄養成分・効能に加え、加熱調理OKか、など栄養素を逃さない調理法・食べ方を紹介します。じゃがいもの旬・選び方も紹介するので、参考にしてみてくださいね。
(このページにはPRリンクが含まれています)目次
じゃがいもはどんな野菜?
じゃがいもはフライにコロッケにサラダにと大人気の根菜ですが美味しい旬の時期や新鮮なじゃがいもの選び方をご紹介します。
じゃがいもの旬
じゃがいもは栽培しやすい作物で温かい地域では年に2回収穫され、生産量が日本一の北海道では秋に一度の収穫です。品種改良もされているので、今では一年中新鮮なジャガイモが並び、旬の時期が無くなっています。
じゃがいもは葉物野菜と違い、収穫してから貯蔵し、表面を乾かしてから順次出荷しますが、春先に収穫したものが店先に並ぶのが5~6月、秋は北海道産は9月ごろ出始めますが他の地域は11~3月です。ただしメークイン系のジャガイモは貯蔵期間が長いほどおいしくなるので2~3月が旬といえます。
収穫後、貯蔵せずすぐに出荷される新じゃがが出回るのは3~5月ごろです。
(*じゃがいもの品種や旬について詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。)
新鮮なじゃがいもの選び方
じゃがいもは料理によって使うじゃがいもの種類が違いますが、なるべく新鮮なじゃがいもを店先で見つけるのは難しいですよね。注意するポイントをいくつかお知らせします。
・じゃがいもの芽が出ていないか
・表面の皮にシワやキズがないか
・皮が緑色がかっていないか
・重みがあるか
・新じゃがの場合、皮が薄いか
新鮮なじゃがいもは水分を含んで重みがあり表面の皮もハリがあります。収穫後時間が経ったじゃがいもは水分が抜けてシワがより、日をあびていれば皮が緑色に変色し、休眠期間が過ぎれば発芽してしまいます。表面にキズがついたものは保管中に傷口から傷み始めるので注意しましょう。
新じゃがは指でこすっただけで皮がむけるくらい薄いものが新鮮で皮ごと食べられます。
じゃがいもの栄養価と効能は?
カロリー | 70kcal |
---|---|
水分 | 81.1g |
糖質 | 1.8g |
タンパク質 | 6.8g |
脂質 | 0.1g |
食物繊維 | 9.8g |
炭水化物 | 15.9g |
じゃがいも100gあたりに含まれる栄養素と効能をみてみましょう。
※1日の摂取量は成人男性の目安です
※含有量は日本食品標準成分表を参照しています(※1)
①カリウム
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
420mg | 2500mg | 17% |
じゃがいものカリウムは420㎎で、これはトマトの2倍の量です。カリウムは体細胞の水分バランスを調整し余分な水分やナトリウムを体外に排出するのでむくみや高血圧の予防・防止に役立つ栄養です。また酵素を活性化させるため間接的に筋肉のエネルギー代謝や収縮をサポートし神経伝達にも関わっています。
不足するとむくみやすくなり夏バテのような症状を起こしたり不整脈や筋無力症などの症状として現れることも有ります。カリウムの摂りすぎの害はありませんが、腎臓の働きが低下しているとカリウムが排出されず高カリウム血症になることがあります。水溶性で加熱すると効力が低下します。(※2)
②ビタミンC
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
28mg | 100mg | 28% |
じゃがいものビタミンCは大根の2倍の28㎎あります。ビタミンCは抗酸化作用が高く抵抗力を高め体内のコラーゲンを作る重要な成分です。ビタミンCがたんぱく質と作るコラーゲンは皮膚や髪の毛、爪はもちろん体内の細胞の結合、筋肉の腱や血管などあらゆるところに使われます。
ビタミンCの抗酸化作用は皮膚を紫外線によるダメージから守り細胞全般のアンチエイジングに役立ちます。ビタミンCは酵素の働きを高めるので肝臓の解毒作用も活性化し、鉄の吸収も高めるので貧血予防にもなりますね。(※3)
住吉彩
管理栄養士
じゃがいもはビタミンCが多いことから「畑のリンゴ」とも呼ばれています。また、加熱による損失も少なく40分丸ごと蒸しても、3/4のビタミンCは残るとも言われています。皮膚や血管の老化を防ぐためにも積極的に摂りたい野菜ですね。
③ソラニン
ソラニンはチャコニンと共にじゃがいもに含まれる有毒物質で、主に発芽した芽に多く集まり、皮の付近にも多くあります。キズが付いたり、太陽光に当たって緑色に変色するとソラニンが生成され含有量が増えます。個人差がありますが、誤って食べてしまい食中毒を起こす症例は毎年発生しています。
致死量を超えれば死に至る危険性のある毒素です。味覚として苦みや辛みを感じるので、異常を感じたら食べるのを控えてくださいね。
④ナイアシン
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
1.6mg | 15mg | 11% |
じゃがいもはねぎの4倍のナイアシンを含んでいます。ナイアシンは人間のエネルギー源である糖質・脂質・たんぱく質を分解からエネルギー生産までの代謝補酵素として働きます。血行を良くするので冷え性や頭痛に効果があり、アルコールの分解にも不可欠な栄養素です。
また脂肪酸やステロイドホルモンを合成し細胞分裂やDNAの修復や合成などさまざまなところで補酵素として働いています。(※4)
じゃがいもにあるダイエット効果とは?
じゃがいもは一般的な野菜に比べてカロリーも低くはありませんし炭水化物のでんぷんの塊のようなイメージがあります。ダイエットに使える要素が有るのでしょうか。
①ポテトプロテインによる満腹感
じゃがいものでんぷんは色々な食品に使われますが、でんぷんを精製する過程で出てくる副産物に含まれるたんぱく質を濃縮させたものをポテトプロティンと呼びます。たんぱく質を75%ほど含み、満腹ホルモンなどを分泌させて満腹中枢を刺激することで食事量を抑える効果があり、食事の30分前にじゃがいもを食べることで効果を発揮するそうです。(※5)
②レジスタントスターチによる便秘解消
じゃがいもに含まれるカロリー源の炭水化物は一度加熱してからゆっくり冷やすことでレジスタントスターチという物質を作り出します。レジスタントスターチは炭水化物から変化したでんぷんですが体内で消化吸収されないのでカロリーに変わらず血糖値も上げずに大腸まで届くのです。
レジスタントスターチは腸内細菌によって短鎖脂肪酸へ変えられ腸内環境を整え脂肪細胞の肥大や中性脂肪やコレステロールが上がるのを防ぎ大腸がんの予防など様々な働きをします。血糖値を抑えるという事はインシュリンの分泌も抑制され脂肪細胞の生成や蓄積を防ぐ効果があるという事です。便秘解消とダイエットの味方ですね。(※6)
(*じゃがいもダイエットの方法や効果について詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。)
じゃがいもの栄養成分を逃さない調理法は?加熱NG?
じゃがいもの持つ栄養素を逃さず効果的に摂る方法をお知らせします。
①じゃがいものビタミンは加熱してもOK
じゃがいもに含まれるビタミン類は、熱に弱い栄養素でも、デンプンに守られているので、加熱しても大丈夫です。一度加熱調理してから常温で冷まし、少し冷蔵庫で冷やすとレジスタントスターチの量が増えるので、より効果的に摂取できます。
②皮ごと食べる
じゃがいもの皮にはクロロゲン酸が多く含まれます。クロロゲン酸は血糖上昇の抑制に効果が確認されているポリフェノールの一種で抗酸化作用の高い栄養成分です。できれば皮も一緒に食べるとクロロゲン酸も摂れて良いのですが、皮にはソラニンなどの有毒物質も含まれているので発芽部分と緑色の皮は取り除いてください。
またじゃがいもを120℃以上の高温で調理するとアクリルアミドという発がん性を持つ可能性のある成分を作り出してしまいます。蒸す・煮るといった調理ならアクリルアミドは作られないので調理の参考にしてくださいね。
(*じゃがいもの皮の栄養や皮ごと食べる際の注意点について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
じゃがいもの栄養が取れるレシピのおすすめ
①じゃがいもとトマトのスープ
トマトジュースを入れてリコピンの抗酸化作用をアップします。冷やして食べればレジスタントスターチもしっかり摂れます。
②じゃがいも人参サラダ
じゃがいもと人参は茹ですぎないようにするとシャキシャキと歯ごたえの良いサラダになります。加熱時間が短ければカリウムも摂れます。ちょっと珍しいじゃがいもの味わい方ですね。
③じゃがいもパセリ
パセリはカリウムをはじめビタミン類が強烈に含まれます。作った後は温めずに食べればダイエットの強力な助っ人になりそうですね。
住吉彩
管理栄養士
じゃがいもは糖質が多くて太る野菜とも思われがちですが、糖質の代謝を助けてくれるビタミンB1や、壊れにくいビタミンC、食物繊維なども豊富に含まれています。じゃがいもの品種によっても食感なども違ってくるので、色んなじゃがいもで調理を楽しまれてはいかがでしょうか?
じゃがいもは栄養豊富な野菜
じゃがいもは栄養素のほかにダイエットや健康維持に有効な成分がいくつも有ることが分かりました。より効果的な食べ方を心がけて健康に役立てましょう。