カニの栄養素と効能は?タンパク質が豊富?成分を逃さない調理法・食べ方を紹介!
【管理栄養士監修】カニに含まれる栄養素を知っていますか?サプリメントなどにカニの甲羅エキスが含まれているのを見かけますよね。今回は、カニの栄養成分・効能に加え、食べる際の注意点も紹介します。カニの種類や選び方も紹介するので、参考にしてみてくださいね。
目次
カニはどんな食材?

カニと言えば冬というイメージがありますが、カニが美味しくなる本当の旬はいつなのでしょう。
カニの種類と旬
代表的なカニの種類ごとの旬はこのような感じです。
タラバガニ | 4月~5月 |
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ズワイガニ | 雄11月~3月、雌11月~1月 |
毛ガニ | 12月~3月 |
タラバガニの旬4月~5月で、冬の流氷が去って海が栄養豊富になったころ、甘みが増して美味しくなります。ズワイガニは漁の解禁日の関係もあり、雄は11月~3月上旬、雌は11月~1月の上旬までです。
毛ガニは漁場が変われば通年漁が可能ですが、漁獲量が最も増えるのは12月~3月なので、この時期が旬といえます。
(*カニの旬について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
カニのカロリー・糖質
カニの100gあたりのカロリーや糖質量を見てみましょう。
カロリー | 63kcal |
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糖質量 | 0.1g |
※含有量は日本食品標準成分表を参照しています
カニの100g当たりのカロリーは63kcalで、枝豆の半分以下で、糖質量は0.1gはコンニャクの白滝と同じです。カロリーも糖質量もカニのイメージからは想像できない低さですね。
竹本友里恵
管理栄養士
カニに含まれる三大栄養素はほとんどがタンパク質です。糖質や脂質がカニほど少ない食品は珍しく、水分量が84gと多い割には栄養素が豊富に含まれています。カニの種類によって含まれる栄養素の比率は違いますがワタリガニはカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが多く、ズワイガニはビタミンB類が豊富に含まれています。他の魚肉類よりもローカロリーなので食べる量を気にする心配は余りないですが、不足する栄養素は他の食材で補うようにしましょう。
カニの栄養素と効果・効能

カロリー | 63kcal |
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水分 | 84g |
タンパク質 | 13.9g |
糖質 | 0.1g |
食物繊維 | 0g |
脂質 | 0.4g |
※1日の摂取量は成人男性の目安です
※含有量は日本食品標準成分表を参照しています(※1)
カニのカロリーや糖質量は低めでしたが、他にはどのような栄養があるのか、ズワイガニを参考に、含まれる栄養成分と効能を見てみましょう。
①アスタキサンチン
カニを茹でると赤くなる色は、アスタキサンチンといって、トマトのリコピンやブロッコリーに含まれるルテインと同じカロチノイドの仲間です。体内に取り込まれると、ビタミンAとして働く抗酸化作用の高い成分です。紫外線による皮膚へのダメージや、体内の細胞膜などの脂質成分が酸化による老化現象などから守る効果があります。
アスタキサンチンの体内への抗酸化効果はβカロテンの40倍、紫外線から肌を守る効果はβカロテンの10倍と言われ、美肌効果・血流改善・眼疾患・生活習慣病などの予防・改善に効果を発揮します。
竹本友里恵
管理栄養士
アスタキサンチンの特徴は、強い抗酸化作用・抗炎症作用があることです。抗酸化作用は、体内に増えすぎた活性酵素(通常なら良い酵素)が細胞を壊してしまう現象を抑制する事です。抗炎症作用は、体内で暴れてるウイルスを排除する事です。この2つの効果は、体の免疫力を上げ健康を維持し、老化防止に繋がります。
②ナイアシン
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
8mg | 15mg | 53% |
カニには8㎎のナイアシンが含まれますが、一日の間食の目安が15㎎の53.3%という高い含有量です。ナイアシンは食べたものがエネルギーに変えるときに必要なビタミンB類の仲間で、体内の酵素を活性化させます。また、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解を補助するため、お酒が好きな人にも摂ってほしい栄養素です。
不足すると食欲不振・下痢や消化不良・皮膚の発疹などの症状を起こすペラグラという欠乏症になります。(※2)
③タウリン
タウリンは、人の体重の0.1%を占めており、体内のいたるところに使われている成分です。身体の働きの恒常性を保つ機能があり、肝臓に関係する働きを多く持ち、胆汁酸を作ることでコレステロールを消費し、コレステロール値を下げる効果もあります。
タンパク質が分解されるときに体内でも合成されますが、必要な量が足りないので食品から摂取することを勧められます。(※3)
④タンパク質
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
13.9g | 60g | 23% |
カニにはたんぱく質も13.9g含まれます。タンパク質は筋肉や内臓などヒトの体を構成する成分ですが、様々な栄養素と組み合わされ酵素やホルモン物質、免疫物質を作る素にもなっています。不足すると筋力が落ち、免疫機能も低下して病気にかかり易くなります。(※4)
⑤ミネラル
含有量(100g) | 1日の必要な摂取量 | 1日の摂取量に占める割合 | |
鉄分 | 0.5mg | 7mg | 7% |
亜鉛 | 2.6mg | 8mg | 33% |
カルシウム | 90mg | 650mg | 14% |
カニにはほとんどのミネラルが含まれています。代表的なミネラルである鉄分は、血液の赤血球のヘモグロビンとして体中に酸素を運び、亜鉛は数百に及ぶ酵素を作る要素となり、胎児や乳児の生命維持や成長に大切な役割を果たしています。カルシウムは身体の骨の成分としてだけでなく細胞分裂や神経の伝達にも関与する栄養素です。(※5)
カニの栄養素を効率的に取るには?

カニの栄養分をできる限りムダにせず身体に取り入れるには、どうやって食べると良いのでしょう。
殻も出汁などに活用する
前述の赤いカニの色素であるアスタキサンチンはカニの殻にも含まれる成分です。すべてを取り出すことはできませんが、煮だすことで取り出すことは可能です。カニの殻も上手に出汁をとれば、残っていた栄養素も取り入れることができますね。
カニを食べる際の注意点は?妊婦は食べると危険?

栄養豊富なカニですが、食べるときに気を付けることはあるのでしょうか。妊婦さんが食べても安全なのか、調べてみました。
食べ過ぎるとアレルギーになる可能性がある
カニを含め甲殻類はアレルギー症状を起こすアレルゲンとして有名です。カニの場合即時型アレルギーなので通常30分以内、遅くとも2時間以内に症状が現れます。じんましんが多いですが、アナフィラキシーショックを起こす場合もあり、症状は人によって違います。
アレルギーが無かった人もアレルギーコップが一杯になってしまうと、アレルギー反応が出るようになってしまいますから、食べ過ぎず、量は気を付けた方が良いですね。
妊婦はカニを食べても問題ない
一部の魚、マカジキや金目鯛などは水銀含有量が多いため、妊婦さんの摂取量に関して厚生労働省が注意喚起していますが、カニはこの中に含まれないので安心して食べてください。カニに含まれる亜鉛や葉酸は、妊婦さんにぜひ食べてもらいたい栄養です。
カニは栄養豊富な食材
カニは低カロリーで栄養豊富な海の幸です。アスタキサンチンなどの強力な栄養素を、上手に食生活に活かしてくださいね。