牛乳の栄養価と効能は?カルシウムが豊富?効果的な飲み方や吸収できない噂の真偽も解説!
【管理栄養士監修】牛乳の栄養価を知っていますか?カルシウム・タンパク質などが豊富です。今回は、牛乳の栄養成分・効能に加え、効果的な飲み方も紹介します。「日本人が牛乳を吸収できない」噂の真偽や殺菌方法による違いも紹介するので、参考にしてみてくださいね。
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牛乳はどんな食材?
基本的な牛乳についてを紹介します。牛乳はとても身近な飲み物で、さまざまな料理にも欠かせない食材ですが、産地や保存するにあたって気をつけることはないでしょうか。
牛乳の主産地
牛乳の主な産地を3つ挙げます。
北海道
熊本県
岩手県
大手の乳製品の企業が多く使っていることから、北海道で牛乳が多く作られているのは広く知られていますが、他にも全国で酪農がおこなわれています。それぞれ味や加工されるものも違うので、購入するときは産地も見てみましょう。産地が表示されていない場合は、製造番号から調べられます。
保存は温度・雑菌に気をつける
牛乳を保存する場合は、温度に気を付けて保存しましょう。雑菌が繁殖しやすいので、一般的には未開封でも10度以下の場所で保存します。開封埋みの場合、賞味期限以内でも早めに飲み切りましょう。
(*牛乳の保存温度について詳しく知りたい方はこちらを読んでみてください。)
牛乳の栄養素と効果・効能
カロリー | 67kcal |
---|---|
水分 | 87g |
タンパク質 | 7g |
糖質 | 10g |
脂質 | 8g |
※1日の摂取量は成人男性の目安です
※含有量は日本食品標準成分表を参照しています(※1)
牛乳に含まれる栄養とその効果、効能はどのようなものでしょうか。健康のための成分が牛乳には豊富に含まれています。200mlのコップ一杯分の含有量と一緒に見てみましょう。
①カルシウム
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
227mg | 2500mg | 9% |
牛乳に多く含まれている栄養成分で、よく知られているのがカルシウムです。カルシウムは骨の形成に欠かせないものですが、3か月ほどのサイクルで形成と、血液などへの溶出を繰り返しています。子供に良いとよく言われますが、50代を越えると形成よりも溶出の方が多くなるので骨粗しょう症になりやすくなりますから、大人でも飲むようにしましょう。
そのほかにもカルシウムは精神を安定させる効果もあります。(※2)
②ビタミンD
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
0.7μg | 5.5μg | 13% |
ビタミンDは血中のカルシウムの濃度を調整する働きがあり、精神の安定や筋肉の収縮を正常に行います。葉や骨の発育にも重要な役割をすることから、子供には欠かせない成分です。不足すると妊婦は骨軟化症になったり、子供は骨の発育に影響が出ます。骨折もしやすくなるので、高齢者も摂取したい栄養です。(※3)
③ビタミンB2
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
0.31mg | 1.6mg | 19% |
ビタミンB2は糖質やタンパク質、脂質の代謝など、エネルギーを生産する酵素を補助する働きがあり、美容にも関係してきます。皮膚や髪の細胞を再生する働きがありますから、悩んでいるなら摂取しましょう。不足すると口内炎や口角炎にもなりやすくなります。
また、子供はエネルギー消費が多いことから、不足すると成長障害が起きやすくなります。活発な子供ほど必要な栄養です。(※4)
④ビタミンB12
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
0.6μg | 2.4μg | 25% |
ビタミンB12は胃の中に入るとタンパク質から離され、アミノ酸や脂肪酸の代謝に関与します。葉酸とともに赤血球を作る働きをするのもビタミンB12です。普段の食事で不足することはありませんが、不足するとうつ病や脳波異常が起きやすくなります。(※5)
⑤ミネラル類
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 | |
カリウム | 309mg | 2500mg | 12% |
亜鉛 | 0.8mg | 8mg | 10% |
リン | 192mg | 1000mg | 19% |
その他にも牛乳は様々なミネラル類を含んでいます。カリウムはむくみを解消する働きがあります。むくみが蓄積されたままになるとセルライトとなり、落ちにくくなりますから、摂取するようにしましょう。亜鉛も味覚の正常化に大きくかかわり、髪や肌のトラブルを抑制します。生殖機能を正常にすることから、男性が妊活で困っているなら摂取しましょう。
リンは歯や骨の形成にカルシウムとともに役立ちます。高血圧やメタボにも効果があると言われています。(※6)(※7)(※8)
牛乳の効果的な飲み方は?
牛乳を飲むときに出来るだけ栄養を効果的に摂取するにはどうすれば良いでしょうか。飲むタイミングやその理由を紹介します。
①寝る前に飲む
牛乳を夜寝る前に飲むと、安眠効果があると言われています。牛乳に含まれるトリプトファンはセロトニンを作る働きがあり、睡眠を促します。また、カルシウムが吸収、骨に蓄積されるため、睡眠前に牛乳を飲むのはおすすめです。
永倉沙織
管理栄養士
寝る前に飲むならホットがオススメ! 冷たい飲み物は体を冷やし、代謝が下がってしまいます。ホットで飲むことで体が温まり、質の良い睡眠が得られ、代謝アップに繋がります。
(*寝る前に牛乳を飲むメリットについて詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
②飲酒する前に飲む
お酒を飲む前に牛乳を飲むと胃に膜を作り、悪酔いを防ぐ効果があります。この膜はカゼインと言う成分です。牛乳は苦手だけどチーズなら食べられると言う場合でも、効果はあるので飲酒の前に食べておきましょう。ただし、飲み始めてから摂取しても効果はありません。また、牛乳を飲んでから飲酒を始めた場合、酔いが覚めるのも水より早くなります。
③トレーニング後に飲む
トレーニング後に牛乳を飲むのもおすすめです。牛乳に含まれるたんぱく質はペプチドに分解され、骨の形成に役立ちます。また、動物性である牛乳のペプチドからは、脂肪燃焼作用の効果もあります。カゼインも筋肉の分解を防ぐのに役立ちますから、トレーニング後の飲み物として、牛乳は効率的に栄養を吸収できると言えます。
日本人は牛乳の栄養を吸収できないって本当?
牛乳を飲むとお腹が緩くなる人がいます。日本人は牛乳の栄養を吸収できないという話を聞きますが、本当でしょうか。本当ならその理由はなぜでしょうか。
「乳糖不耐症」の人は牛乳の乳糖を消化できない
東洋人は、白人よりも牛乳に含まれる乳糖を消化する酵素が少ないことが多く、乳糖不耐症と言われています。病気ではありませんが、消化酵素のラクターゼの働きが悪くなり、飲むと下痢、お腹がゆるいなどの症状を起こします。
(*乳糖について詳しく知りたい方はこちらを読んでみてください。)
下痢・お腹がゆるくならない対策
牛乳は無理して飲む必要はありませんが、以下のような対策をすると下痢やお腹がゆるくなるなどの症状が抑えられます。
・牛乳を温めて飲む
・ゆっくり飲む
・乳糖が入っていない牛乳を飲む
お腹がゴロゴロするなら乳糖が原因ですので、乳糖不使用の牛乳を飲むようにしましょう。ただし、牛乳アレルギーの場合はアナフィラキシーショックを起こす危険もありますので、医師に相談してください。
永倉沙織
管理栄養士
その他にも牛乳だけで飲むのではなく、ココアやコーヒーなどに混ぜたり、料理に加えるなどすると取り入れやすくなります。
牛乳の栄養価は殺菌方法で変わる?
スーパーに多く並んでいる牛乳の多くは、短時間で高温殺菌されたものが大半です。他にもさまざまな殺菌方法が表示されていますが、殺菌方法の違いで栄養価は変化するのでしょうか。
栄養価は変わらないが消化性が上がる
販売されている多くの牛乳は、短時間で高温殺菌されたものが多いです。タンパク質は長時間高温にさらされると固まりますが、短時間なら特に問題はありません。むしろ高温で加熱するとタンパク質が変質して、アミノ酸に変化することで消化性が高まることから、短時間高温殺菌の方が健康に良いと言えるでしょう。
牛乳は栄養豊富な食材
牛乳は身近な飲み物ですが、非常に栄養豊富で健康に欠かせない食材です。広く知られているカルシウム以外にも、成長や健康に役立つ成分が多いので飲むだけではなく、ぜひ料理にも役立ててください。