銀杏の栄養価と効能は?食べ過ぎで中毒に?殻の処理法や食べ方・レシピのおすすめも紹介!
【管理栄養士監修】銀杏に含まれる栄養素を知っていますか?今回は、銀杏の栄養成分・効能やカロリー・糖質に加え、〈フライパン・電子レンジ〉で加熱調理する食べ方も紹介します。食べ過ぎの注意点や活用レシピも紹介するので、参考にしてみてくださいね。
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- 銀杏はどんな食材?
- 銀杏の旬や臭い理由
- 銀杏(1個/100g)のカロリー・糖質
- 銀杏の栄養素・効能
- ①ビタミンC
- ②βカロテン
- ③マグネシウム
- ④ビタミンB1
- ⑤鉄分
- 銀杏に期待できる健康・美容効果は?
- ①夜尿症の予防
- ②喘息の改善
- ③美肌効果
- 拾った銀杏を下処理して食べるには?
- 銀杏を拾う際に気をつけること
- 拾った銀杏の下処理の手順
- 銀杏・殻を【電子レンジ】で加熱調理する方法
- 準備するもの
- 電子レンジで加熱調理する手順
- 銀杏・殻を【フライパン】で加熱調理する方法
- 準備するもの
- フライパンで加熱調理する手順
- 銀杏の栄養成分を逃がさず摂取するには?
- 銀杏の薄皮ごと食べる
- 銀杏の食べ過ぎには要注意?理由は?
- 中毒物質「メチルビリドキシン」が含まれる
- 1日の摂取量の目安は何個?
- 銀杏の栄養がとれるレシピのおすすめ
- ①銀杏バターご飯
- ②銀杏のペペロンチーノ
- ③銀杏レンコンのきんぴら
- 銀杏は栄養豊富な食材
銀杏はどんな食材?
銀杏は茶わん蒸しの具材や、天ぷらにして食べる機会がありますが、そもそもどんな食材なのでしょうか。まず、銀杏が臭い理由やカロリーなどについて解説します。
※1日の摂取量は成人男性の目安です
※含有量は日本食品標準成分表を参照しています(※1)
銀杏の旬や臭い理由
銀杏独特の鼻をつく匂いは、皮に含まれる酪酸とエナント酸という成分が原因となって生じます。酪酸は人間の皮脂にも含まれる汗の臭いの成分の一つで、一方のエナント酸は腐敗臭を放つ油状の成分です。銀杏の実が踏まれるなどして潰れると、二つの物質が合わさって独特な臭い匂いを発するようになります。
なお、銀杏の旬は9月から11月中旬なので、イチョウの葉が黄色く色づき始める前から収穫が始まります。イチョウの葉が完全に色づき終わった12月ごろには、ほとんど銀杏は残っていないでしょう。
(*銀杏の収穫時期や臭い理由について詳しく知りたい方はこちらの生地を読んでみてください。)
銀杏(1個/100g)のカロリー・糖質
カロリー | 糖質 | |
銀杏(100g) | 171kcal | 33.2g |
銀杏(1粒:2g) | 3.4kcal | 0.7g |
銀杏のカロリーは100gあたり171kcalと少し高めですが、銀杏1粒は2g程度なので、10粒食べたとしても34kcalとそこまで高カロリーにはなりません。
一方糖質量に関しては、ナッツなど種実類の100gあたりの平均糖質量が17.9g、全食品の平均糖質量が18.4gであることから判断すると、糖質量が高めの食材と言えます。そこまでカロリーは高くないものの、食べ過ぎには注意が必要です。
銀杏の栄養素・効能
カロリー | 171kcal |
---|---|
タンパク質 | 4.7g |
糖質 | 33.2g |
食物繊維 | 1.6g |
脂質 | 1.6g |
上の表は銀杏100gあたりの栄養成分を表したものですが、銀杏は糖質を多く、たんぱく質や脂質・食物繊維は少な目です。銀杏にはこのほかにも色々な栄養成分が含まれています。ここからは、銀杏に含まれる栄養素や、その効能について解説していきましょう。
①ビタミンC
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
2mg | 100mg | 2% |
銀杏には、キウイ1/4個分のビタミンCが含まれています。ビタミンCには白血球の免疫を高める働きがあるため、身体のウイルスへの抵抗力を高め、風邪などを予防する効能があります。また、コラーゲンを生成するために必要不可欠な成分なので、美肌にも効果的です。
なお、ビタミンCは人間の体内で生成することができない成分なので、銀杏などビタミンCを豊富に含む食材から積極的に摂取する必要があります。特に妊婦はビタミンCが不足すると胎児の発育に影響を及ぼしたり、貧血などの不調を引き起こす場合があるので不足に注意が必要です。(※2)
②βカロテン
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
290μg | - | - |
βカロテンは植物や動物の色素のひとつで、摂取すると体内でビタミンAに変化します。βカロテンには、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病を予防する効能があるほか、皮膚や粘膜の細胞を健康に保つ働きをする人間にとって重要な成分です。
不足すると免疫力が低下し、風邪をひきやすくなったり、口内炎ができやすくなったりする以外に、脱毛やドライアイ・視力低下の症状などが表れます。βカロテンは銀杏以外にもにんじんなどの野菜に含まれていますが、多く摂取しても過剰摂取になることはありません。(※3)
③マグネシウム
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
48mg | 340mg | 14% |
マグネシウムは体内のさまざまな酵素の働きを助けているほか、骨を構成する上で必要不可欠な成分です。また、血管を拡張させて血圧の上昇を抑制する効果や、血小板の凝集を抑えて血栓を防止する効能も持っています。そのため、マグネシウム不足は高血圧や動脈硬化などの生活習慣病のリスクを高めるので注意が必要です。
マグネシウムは主に野菜や魚介、あおさや昆布などの藻類に多く含まれます。銀杏にはさつまいもの約2倍のマグネシウムが含まれてるので、マグネシウム不足の方にはおすすめの食材です。(※4)
④ビタミンB1
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
0.28mg | 1.4mg | 20% |
ビタミンB1は糖質からエネルギーを生成するのに必要な成分であるほか、皮膚や粘膜の健康を維持する働きがあります。また、糖質を栄養源として使っている脳神経系の働きにも関与しています。
水溶性ビタミンの一種であるビタミンB1は多めに摂取しても尿などから排出されてしまうため、毎日コンスタントに摂取することが大切です。ビタミンB1が不足すると糖質をエネルギーに変換しづらくなるため、倦怠感や夏バテのような症状が出ます。
ビタミンB1は豚肉やレバーに多く含まれていますが、銀杏にも鶏レバーの約40%程度含まれています。レバーが苦手な方は、銀杏からビタミンB1を摂取すると良いでしょう。(※5)
⑤鉄分
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
1mg | 7mg | 14% |
鉄分は、赤血球の成分であるヘモグロビンを生成する栄養素の一つで、体内での酸素の運搬にも携わっている成分です。ほかにも体内でのさまざまな酵素の働きにも関わるなど、体内で重要な働きをしているミネラルです。
鉄分が不足すると、鉄欠乏性貧血が引き起こされるほか、倦怠感や運動機能・免疫力の低下、イライラや集中力低下などの精神的な症状も表れます。なお、妊婦の鉄分不足は赤ちゃんの発育不足や早産につながる場合があるので、妊娠中は特に不足に気を付けたほうが良いでしょう。(※6)
住吉彩
管理栄養士
銀杏は1粒が小さいながらにもたくさんの栄養素が含まれています。体外れ余分な塩分を排出する働きがあり、高血圧やむくみの改善に有効とされるカリウムなど、ビタミンとミネラルのバランスがとても良くとれています。
銀杏に期待できる健康・美容効果は?
銀杏を食べるとどんな効果があるのでしょうか。ここでは、銀杏に期待できる健康・美容効果について紹介します。
①夜尿症の予防
銀杏に含まれるカリウムは腎臓に働きかけて排尿を調節する作用を持っており、銀杏には夜尿症や頻尿を防止する効果があると言われています。実際に、夜中に5回ほどトイレに行く男性が、寝る前に5~10粒ほどの銀杏を食べたところ、夜中のトイレの回数が1回まで減ったという症例もあります。
なかなか夜尿症がおさまらない子どもや頻尿に悩んでいる方におすすめですが、食べ過ぎは食中毒を起こす場合があるので一度に10粒程度を目安にしましょう。
②喘息の改善
銀杏には咳を止めて痰(たん)を除去するなど喘息の症状を和らげる効果があるとされており、古くから漢方薬の成分としても利用されています。銀杏の食べ過ぎは健康を害する場合がありますが、喘息持ちの方や風邪で咳がをひどい場合などは、銀杏を試しに食べてみるのもおすすめです。
③美肌効果
銀杏に多く含まれるビタミン類には、シミの元であるメラニン色素の生成を抑えたり、肌を健康的に保つ働きがあります。アンチエイジング効果やにきび防止効果も期待できるなど、美肌にも役立つ食材です。
拾った銀杏を下処理して食べるには?
落ちている銀杏は、拾ってもどのように処理したらよいのか分からない場合も多いかもしれません。ここでは、拾った銀杏を下処理して食べる方法について紹介します。
銀杏を拾う際に気をつけること
銀杏を拾う際には以下の点に注意しましょう。
・なるべく落ちたての、つぶれていないものを選ぶ
・青いものではなく、黄色やオレンジの実を拾う
・かぶれ防止のため手袋をして拾う
銀杏の匂いは強烈で、一度匂いが手につくとなかなか取れません。また、また、素手で銀杏に触れると肌がかぶれてしまう場合があるので、拾うときは必ず使い捨てなどの手袋をして拾うようにしましょう。
拾った銀杏の下処理の手順
拾った銀杏を自宅で下処理する場合は、以下の手順で行います。
【手順】
1.水を張ったバケツに拾った銀杏を入れてふやかす
2.ふやけた銀杏の実をつぶし、中の種を取り出す
3.種同士をこすり洗いし、実をきれいに取って種だけにする
4.種をざるなどにあけ、乾燥させる
銀杏の実は匂いが強いので、洗う際は必ず外で行い、ビニール手袋をつけて作業するのがおすすめです。水に入れてふやかすことで実が簡単に取れるようになるため、2日~1週間かけてしっかりふやかしましょう。
銀杏・殻を【電子レンジ】で加熱調理する方法
次に、下処理した殻付きの銀杏を電子レンジで加熱調理する方法を紹介します。
準備するもの
・茶封筒
・ハサミ
電子レンジで調理する場合には、銀杏が入る大きさの茶封筒とハサミを用意します。茶封筒は新品でなくても構いません。
電子レンジで加熱調理する手順
殻付きの銀杏は、以下の手順で加熱調理します。
【手順】
1.銀杏を封筒に入れ、500Wの電子レンジで40~50秒加熱する
2.破裂したものは殻を割って中身を取り出し、破裂しなかったものはハサミなどを使って殻を割り、中身を取り出す
銀杏を電子レンジで加熱する際は、数個が破裂しているようであれば、殻が割れていないものが残っていても加熱を終えて構いません。破裂しているものは手で殻をむくことができますが、破裂していないものはハサミなどで殻を割る必要があります。殻は硬いので、キッチンハサミ等の殻割りを使用すると割りやすいでしょう。
銀杏・殻を【フライパン】で加熱調理する方法
次に、フライパンで殻付きの銀杏を加熱調理する方法を紹介します。
準備するもの
・フライパン
・フライパンの蓋
・トンカチ
フライパンで調理する場合は、フライパンの蓋とトンカチを準備します。
フライパンで加熱調理する手順
フライパンで加熱調理する手順は、以下のとおりです。
【手順】
1.銀杏の殻のつなぎ目部分を上にして持ち、トンカチを使ってつなぎ目部分を割れる程度に軽くたたく
2.フライパンに殻を割り終えた銀杏を入れ、蓋をして中火程度で熱し、時々転がしながら煎る
3.銀杏の殻の割れ目が広がり、きれいなヒスイ色になったら完成
フライパンで加熱調理する場合は、一つずつトンカチで割れ目を入れる必要があります。トンカチで殻を割る際には、中の実をつぶさないように気を付けましょう。
銀杏の栄養成分を逃がさず摂取するには?
栄養豊富な銀杏も、食べ方によっては栄養素を逃がしてしまう場合があります。ここでは、栄養素を逃がさず摂取する方法を紹介します。
銀杏の薄皮ごと食べる
銀杏の薄皮には、老化防止効果を期待できるポリフェノールが豊富に含まれています。銀杏は薄皮を剥いて食べる場合が多いですが、薄皮も一緒に食べることでより多くの栄養を摂取することができます。薄皮が食べにくいと感じる場合は、焼いて食べると香ばしさが増して食べやすくなります。
住吉彩
管理栄養士
銀杏の栄養を余すことなく食べるには、保存方法にも気をつけたいですね。たくさん家にあるときは冷凍保存するのがお勧めです。皮付きのままフリーザーパックに入れて、殻を剥いて処理したものなら少量ずつラップに包んでフリーザーパックに入れておきます。その時空気を抜くことで酸化も防ぐことができます。
銀杏の食べ過ぎには要注意?理由は?
銀杏は食べすぎには注意が必要です。ここでは、その理由を詳しく説明します。
中毒物質「メチルビリドキシン」が含まれる
銀杏は大量に摂取すると食中毒を引き起こすことがあります。これは、銀杏に含まれる中毒物質であるメチルビリドキシンが原因です。メチルビリドキシンには抗ビタミンB6作用があるため、銀杏を過剰摂取することでビタミンB6が欠乏し、神経伝達物質であるGABAの生成が阻害されて痙攣などの症状が起こることが分かっています。
また、銀杏はお酒のおつまみにもぴったりですが、アルコールを摂取すると食欲が増すため、銀杏をいつの間にか食べ過ぎてしまうことがあります。知らないうちに食中毒を発症してしまう場合があるため、おつまみとして銀杏を食べる際は、量に気を付けましょう。
1日の摂取量の目安は何個?
食中毒を引き起こす銀杏の量は明確に定まってはいませんが、子供で7個~150個、成人で40~300個と言われています。それぞれの健康状態や体質によっても食中毒が起きる量は異なるので、食べ過ぎには注意が必要です。銀杏を食べる際には、子供なら3粒程度、大人なら10粒程度を目安に食べましょう。
ただし、5歳以下の子どもは中毒を起こした事例も多いため、食べさせないほうが無難です。また、妊婦についても、どの程度銀杏を食べても問題がないかは分かっていません。妊婦でも銀杏を食べること自体は問題ありませんが、妊娠によって身体の状態が変化しているため食べ過ぎは避けるようにしましょう。
(*銀杏の食べ過ぎについて詳しく知りたい方はこちらの生地を読んでみてください。)
銀杏の栄養がとれるレシピのおすすめ
最後に、銀杏の栄養を効果的に摂取できるレシピを紹介します。
①銀杏バターご飯
銀杏バターご飯は、バターと銀杏の組み合わせがおいしいお弁当にもおすすめのレシピです。いつもの白米にひと手間加えるだけで、彩り豊かで栄養満点なご飯になります。
②銀杏のペペロンチーノ
銀杏のペペロンチーノは、銀杏をオリーブオイルとガーリックで炒めたおつまみにもぴったりのメニューです。お酒がすすむ一品ですが、食べ過ぎには要注意です。
③銀杏レンコンのきんぴら
銀杏レンコンのきんぴらは、銀杏とレンコンを出汁と塩でさっぱり味付けした一品です。味付けがさっぱりしているので副菜にもぴったりでしょう。
銀杏は栄養豊富な食材
銀杏は、さまざまな栄養を含む栄養豊富な食材です。ただし、過剰摂取すると食中毒を引き起こす場合があるので、摂取量に注意して食べるようにしましょう。