トマトの栄養素と効能は?リコピンを効率よく摂取する食べ方など紹介!
【管理栄養士監修】トマトの栄養素や効能を知っていますか?「医者が青くなる」と言われるほど、トマトに含まれる栄養素は豊富です。今回は、リコピン・グルタミン酸をはじめとした栄養素の効能を方法を紹介します。効率的に栄養摂取する食べ方も紹介するので、参考にしてみてくださいね。
目次
トマトはどんな野菜?
トマトは生食からジュースやケチャップなど、加工品にもよく使われますが、旬の時期はいつなのでしょう。美味しいトマトの選び方と合わせて紹介します。
トマトの旬
露地栽培のトマトは6月から8月が収穫の最盛期を迎えますが、年間を通してハウス栽培もされています。露地栽培の方がおいしそうな気がしますが、トマトはアンデス原産の野菜で本来、高温多湿が苦手な作物です。
沢山の日光と乾燥気味の気候でトマトは甘みを増し、栄養価も高くなります。関東の生産者によると、お盆過ぎから植え付け、11月から収穫し始め、年を越した春先のトマトが美味しいそうです。おいしさの旬と言えるのは春から夏にかけてと秋ということになります。
(*トマトの旬の時期について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
トマトの選び方
最近はトマトの種類も増え、選ぶのに迷いますよね。美味しいトマトの見た目は以下のような特徴をしています。
・綺麗な丸みがあり、均一に育っている
・持った時に重みがある
・ヘタがが瑞瑞しい
・トマトのおしりに白い筋が入っている
どんな種類でも、全体的にきれいな丸みがある方が均一に育っているので、切ったときに空洞などのかたよりがありません。ずっしりと重いほうがしっかり実が入って糖度も高くなります。また、ヘタが乾燥して硬くなっているのは収穫してから時間がたっていますから新鮮ではありません。
もう一つ、トマトのおしりを見て放射状に白い筋がたくさん入っていたら特別な育てられ方をしたサインです。トマトは収穫前に与える水分量を減らし、ストレスを与えることで糖度を上げるのですが、水分が足りないと「維管束」といった水分を通す白い筋が出てくるのです。
トマトの栄養素と効能
カロリー | 19kcal |
---|---|
水分 | 94g |
たんぱく質 | 0.7g |
炭水化物 | 4.7g |
食物繊維 | 1g |
真っ赤なトマトは見るからに美味しそうですが、どんな栄養が含まれているのでしょう。「医者が青くなる」ほどの効果とはどのようなものなのか代表的な栄養分を紹介します。
※1日の摂取量は成人男性の目安です
※含有量は日本食品標準成分表を参照しています(※1)
①リコピン
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
10mg | 15mg | 67% |
リコピンは動植物に含まれる深紅色の天然色素で、カロテノイドの一種です。カロテノイド色素の中でも特に抗酸化作用が高いのがリコピンの特徴です。抗酸化作用とは必要以上の活性酸素を除去する働きで、血流の改善や、生活習慣病の予防、アレルギー体質の改善、老化防止、色素沈着の防止など多岐にわたる効果が期待されています。
リコピンは細胞壁が厚く、そのままでは吸収されにくいのですが、ジュースなど細胞を壊す、脂溶性なので油を使う、加熱すと吸収力がアップします。ジュースで3.8倍の吸収力になります。(※4)
②13-oxo-ODA
13-oxo-ODAはトマトに含まれるリノール酸の一種で、脂肪の燃焼を促す遺伝子を増やす働きをします。この成分を体内に吸収することで肝臓で脂肪の燃焼に関わるたんぱく質を多く作り出すことができます。その結果、脂肪肝や高中性脂肪血症などの改善に効果が認められ、血糖値も低下するそうです。
特にトマトジュースに多く含まれ、毎食時にトマト2個かトマトジュースを200㏄摂るとより効果があると報告されています。(※2)
③β-カロテン
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
54㎍ | - | - |
β-カロテンは体内でビタミンAに変わるため、β-カロテン単体としての摂取量ははっきりと出されていませんが、ビタミンについて書かれた書籍には、ビタミンAとしての必要量をβ-カロテンで取ろうとすると2,500~3,700㎍ほど必要です。
摂取されたβ-カロテンはビタミンAに変えられるほか、抗酸化作用や免疫を上げる効果があります。ビタミンAの働きは皮膚や粘膜の健康維持、身体の抵抗力を高めたり、薄暗いところでの視力の維持などの効果があります。また皮膚での発がん物質の発現を抑える効果もあるとされています。
ビタミンAとして取り込むと過剰症の害があり、成人男性で2,700㎍と上限値が定められています。β-カロテンとして体内に蓄積されると、必要量だけビタミンAに変換されるので過剰症は起こりません。そのためビタミンAはβ-カロテンからの摂取が推奨されます。(※3)
④グルタミン酸
含有量(100g) | 1日の摂取量の目安 | 1日の摂取量に占める割合 |
246mg | - | - |
グルタミン酸は非必須アミノ酸に含まれる成分で、トマトに大量に含まれています。グルタミン酸は脳内の神経伝達物質として使われ、脳内でグルタミン酸の量適正でないと健常な日常生活が送れません。少なければ統合失調症に、多ければアルツハイマーになるリスクが高まります。
グルタミン酸は脳の機能の活性化のほか、アンモニアの解毒、利尿効果や筋肉や免疫を上げるたんぱく質を構成し、生命維持に大きな役割を果たしています。また脳や体をリラックスさせる神経伝達物質のGABAを作り出すのもグルタミン酸です。
グルタミン酸は昆布などにも含まれる、うまみ成分としても働くほか、脂肪の蓄積を抑えたり肌の水分保湿にも関わっています。また、血圧を下げる効果も認められています。
住吉彩
管理栄養士
栄養たっぷりのトマトには他にも、有害な活性酸素から細胞を守るビタミンCや、脂質の代謝をサポートするビタミンB6、ビタミンCと共に毛細血管を強くし、脳卒中などの疾病の予防にもなるルチンなど様々な栄養素が含まれています。
トマトの栄養を効率的に摂る方法は?
健康維持に重要な営養素を蓄えているトマトですが、摂り方によって栄養分の摂取量がかわってきます。トマトの代表的栄養素、リコピンの効率的な摂り方をご紹介します。
トマトジュース・ドライトマト・トマト缶など加工品で食べる
トマトに大量に含まれるリコピンは生の状態よりジュースやドライトマトの方が多くなります。ドライトマトにすると生トマトの10~15倍になります。ドライトマトの場合は水分が蒸発することでリコピンが濃縮されたり、ジュースにするとミキサーにかけることで細胞壁が壊れることによりリコピンが増えます。
加工用トマトは完熟するとリコピン、β-カロテン、ビタミンCなどが生食トマトの倍になります。ジュースや缶詰に加工することでさらに吸収されやすくなります。
トマトを加熱調理をする
リコピンとβ-カロテンは脂溶性で加熱することで吸収力があがり甘みも増します。オイルを使い加熱するとリコピンやβ-カロテンの吸収率が上がります。トマトをオイルを使って加熱するトマトソースやタラトゥイユは、効果的にリコピンを摂る良い方法です。(※5)
住吉彩
管理栄養士
トマトは生だけでなく、カットトマト缶やホールトマト缶など缶詰を用意しておくと、保存期間も長く手軽食べることが出来るので良いですね。トマトを様々な調理法でアレンジしながら、お気に入りのメニューを見つけてみてはいかがでしょうか?
(*トマトの加熱調理について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
ただしトマトの食べ過ぎには注意!
トマトを食べ過ぎると以下のような健康への悪影響が出る可能性があります。
・結石ができる
・下痢や腹痛
・肌が黄色に変色する
これらは、適量摂取した場合には良い効果・効能をもたらす「カロテン」「カリウム」などが過剰に反応してしまい引き起こされます。また、トマトの皮の消化が悪いことも原因になりますので、食べ過ぎには注意が必要です。
(*トマトの食べ過ぎによる悪影響について詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。)
トマトは栄養価が高い野菜
トマトはリコピンやβ-カロテンを豊富に含んだ、非常に栄養価の高い野菜です。抗酸化力の高い成分は、現代人が直面しやすい健康トラブルの予防に役立ってくれます。トマトを使う料理はレパートリーも多いので、食事に取り入れやすいですね。